相続放棄がされているかどうかの確認方法は?相続放棄申述の有無照会

1.相続放棄しているか分からないとき

相続放棄により、次順位の者に相続権が移る場合があります。

しかし、相続放棄した者が相続放棄したことを教えてくれればよいですが、そうでなければ次順位の相続人は、自分が相続人となっているかどうかが分かりません。

直接本人に確認することが難しい場合もあるでしょう。

債権者からの請求ではじめて先順位の相続人が相続放棄した事実が判明するケースもあります。

また、たとえば被相続人が多額の借金を残していることが明白で、次順位者も確実に相続放棄をする、といった場合。

先順位の者が本当に全員放棄しているかどうか、を確認しなければ、相続放棄をすることができません。

その間、不安の日々を過ごすことになるでしょう。

債権者側はどうか。

債権者の方としても、相続人から「相続放棄しました」と連絡があればよいですが、そのような連絡がない、または相続放棄申述受理通知書などを提示してくれない場合、本当に相続放棄されたのか分からないでしょう。

結局、だれに請求すればよいか、請求しても問題ないのか、債権者としては判断できない事態にもなります。

以上のことから、相続人が相続放棄したかどうかを確認する方法が必要になってきます。

2.相続放棄申述の有無照会制度

先順位の相続人が相続放棄して、自分が相続人になっているのかどうかを確認したい、となった場合。

方法としては、被相続人の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述の有無照会」をします。

この有無照会を申立て、家庭裁判所がこれを相当と認めた場合には、対象の人物が相続放棄しているかどうかを教えてくれます。

3.だれができる?

この相続放棄申述の有無照会ですが、だれでもできるわけではなく、同順位の他の相続人や次順位の相続人、相続債権者などの一定の利害関係人に限って認められます。

4.何が必要?

照会する利害関係人は、家庭裁判所に、利害関係を有することを示す必要があります。

主には以下の書類が必要になります。

 

①照会者の身分証明書

②被相続人の死亡の記載のある戸(除)籍謄本と、住民票の除票

③相続人が照会者であれば、相続人の戸籍謄本

④債権者などが照会者であれば、借用書や契約書、判決書など

⑤照会申請書

照会にあたり、照会書にはその理由を記載する必要があります。

⑥返送用の封筒と切手

 

なお、照会手数料は無料です。

5.有無照会をすると

有無照会をして、問題なく受け付けられると、2週間ほどして以下の書面が郵送されてきます。

◆相続放棄がされていた場合・・・その事件番号、受理年月日が記載された回答書

◆相続放棄がされていない場合・・・その旨の回答書

回答の結果、対象の相続人について相続放棄が受理されており、今後の手続き(登記や裁判など)で相続放棄受理証明書が必要であれば、「相続放棄申述受理証明書の交付申請」を引き続き行いましょう。

6.まとめ

先順位の相続人が相続放棄したかどうか不明で、自分が相続人となっているのかどうかわからない。

自分がいつのまにか相続人となっており、知らぬ間になんらかの不利益が及ぶ可能性もあります。

先順位の相続人であった者が「自分は相続放棄をした、次はあなたが相続人となる」と連絡してくれればよいですが、そのような保証はなにもありません。

そのような場合は、この相続放棄の有無照会の制度を利用することをオススメします。

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