親が相続放棄、代襲相続できる?

相談事例

私の祖父が2か月前に亡くなったのですが、祖父が亡くなってからすぐに父が相続放棄をしました。

この場合、孫である私が代襲相続して、祖父の遺産を相続することができるのでしょうか。

1.代襲相続の条件

代襲相続とは、被相続人が死亡したときに、相続人になるはずであった者がすでに死亡しているなど、一定の事由で相続できない場合に、その子などが相続することです。

代襲相続が発生するための条件、「代襲原因」と言いますが、法律上、以下の3つがあります。

①以前死亡

子が親より先に死亡している場合です。その場合、子の子(被相続人からみると孫)が代襲相続します。

兄弟姉妹の相続でも適用があります。相続人となる兄弟姉妹が先に死亡している場合、甥、姪が代襲相続します。

なお、代襲される者(子や兄弟姉妹)を被代襲者といい、代襲する者(孫や甥・姪)を代襲者といいます。

また、「以前」なので、同日も含みます。

たとえば、被相続人が2月2日に亡くなったところ、相続人であるはずであった子が同日に亡くなっていた場合、代襲相続が発生します(子の子である孫が代襲者となる)。

②相続人廃除

家庭裁判所の審判で相続権をはく奪することです。遺言に書いておくこともでき、その場合は、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の審判を申立てます。

 

相続人廃除について詳しくは<相続権を奪う方法は?相続人廃除の解説>をご覧ください。

③相続欠格

自己の利益のため、遺言書を偽造したなど一定の事由により、当然に相続権を失うことです。

 

相続欠格について詳しくは<相続権がなくなる?相続欠格とは?>をご覧ください。

2.相続放棄により代襲相続できる?

法律上は以上の3つが定められていますが、実務上、②③のケースはほとんどないため、代襲原因といったら①の以前死亡となります。

そして、代襲原因の中に相続放棄は含まれていないため、相談事例では孫である相談者が代襲者として相続することはできません。

 

代襲相続について詳しくは<だれが法定相続人となるか?その法定相続分は?>をご覧ください。

3.まとめ

相続放棄が代襲原因となる、といった誤解は思いのほか多い印象ですが、そのまま気付かずに判断を見誤ると、相続人の範囲や相続持分などがまったく変わってきます。

あとで指摘されてすべてがイチからやり直しになった、といったことのないよう、相続人の範囲の確定にあたり疑問や不安を抱いたのであれば、専門家に相談することをオススメします。

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