外国籍になっても相続人となる?相続放棄は必要か?

相談事例

私は現在アメリカに住んでおり、現地で結婚し、国籍も日本からアメリカ国籍となっていますが、私の父(日本人)が半年ほど前に亡くなっていたことがつい最近分かりました。

日本国籍ではない私ですが、父の相続人となるのでしょうか。

父には借金があるようなので、私も相続人となるのであれば相続放棄を検討しています。

その場合、相続放棄には期限があると聞いたのですが、大丈夫でしょうか。

1.外国籍となっても相続人?

日本国籍を有していたが、結婚を機に外国籍となることがあります。

ここで、相続が開始した場合、外国籍となった者は相続人から外れるのか、といった疑問が出てきます。

結論から言うと、外国籍となっても、相続人であることは変わりありません。

したがって、相続放棄を検討しているのであれば、管轄の家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。

2.必要な手続きは?

外国籍(や海外在住)だからといって、特段、手続きが変わるわけではありませんが、国際郵便などの手間がかかります。

また、家庭裁判所によって必要書類が異なることがあるので、事前に管轄家庭裁判所への確認は必須です。

たとえば、海外に居住していることを証明するために、現地の公証人の宣誓供述書が必要となるケースもあります(この場合、訳文も当然必要)。

3.相続放棄には申述期限がある

「外国籍となり、被相続人とは長らく関係を絶っていた」といったケースは珍しくはありません。

そのようなケースでは、相続開始を知った時にはすでに3か月を経過していることがあります。

しかし、相続放棄の期限は、「被相続人が死亡し、自分がその相続の相続人であることを知った時から」スタートします。

したがって、相談事例のケースでは、被相続人が亡くなってから3か月経過していても、そもそも相続の開始を知ってからは3か月を経過していないので、今から取り進めていけば相続放棄の申述期限には間に合うでしょう。

4.郵送にかかる日数には注意

国によっては(特にいまは新型コロナの影響で)国際郵便の日数にかなり取られることがあります。

まだまだ間に合うだろう、と思っていても、書類の収集に手間取ってしまうことも。

申述がその分遅れてしまい、郵送日数も想定以上に取られ、結果、期限に間に合わなかった、といった事態にもなりかねないので、海外在住の方の相続放棄申述は余裕を持った対応がより一層求められます。

 

海外在住者の相続放棄について、あわせて<相続人が海外に住んでいても相続放棄はできる?>もご覧ください。

5.まとめ

外国籍となったとしても、相続人であることに変わりありません。

外国籍の方の相続放棄、レアケースではありますが手続き的には通常の相続放棄と変わりありません。

もっとも、必要書類の収集や郵送の段取りなどに手間がかかることが普通です。

期限に間に合わない、といったリスクもあるので、相続放棄を検討しているのであれば専門家に相談することをオススメします。

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