相続権、親の次は兄弟姉妹?祖父母は相続人となる?

1.祖父母は相続人となる?

親は直系尊属として、相続権第2順位になります。

相続権第3順位は兄弟姉妹です。

被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合には、

「親がすでに死亡しているため相続権第3順位である兄弟姉妹が相続人である」

ということを証明する戸籍謄本が必要になってきます。

ここで、被相続人の祖父母(父方、母方の双方)が生存している場合はどうでしょうか。

1人でも生存していると、兄弟姉妹に相続権は移りません。

なぜなら、直系尊属とは、親、祖父母など被相続人より前の世代の直系の血族のことをいうため、親が亡くなっていても祖父母が生存しているのであれば、その祖父母が第2順位の相続人として相続することになるからです。

じつは祖父母が生存しているのに、「両親が死亡しているから兄弟姉妹が相続人になる」と早合点した結果、相続人を間違えてしまい大変な結果となることもあるため要注意です。

2.戸籍はどこまで必要か?

上記のように、原則、祖父母が亡くなっていることを証明しなければ、兄弟姉妹を相続人とした相続手続きができません。

そのため、親の死亡の記載ある戸籍に加えて、父方・母方それぞれの祖父母が亡くなっていることを証明する必要があります。

親の死亡の記載のある戸籍だけでなく、祖父母の死亡の記載のある戸籍も必要になってくるのです(後述の死亡の蓋然性が高い場合は除く)。

3.戸籍が廃棄処分されていると

相続登記を申請する場合、兄弟姉妹が相続人であれば、その兄弟姉妹が相続人であることを証明するためには親、祖父母の死亡の記載のある戸籍謄本を法務局に提出する必要があります。

また、同じように兄弟姉妹が相続放棄をする場合は、親、祖父母がすでに死亡していることを証明する戸籍謄本を家庭裁判所に提出します。

父方、母方の祖父母のうち1人でも生存していれば兄弟姉妹は相続人ではなく、自己を相続人とする名義変更や相続人であることが前提の相続放棄ができないからです。

ただ、戸籍は保管期間満了によって廃棄処分されることがあります。詳しくは<廃棄処分される?除籍謄本や住民票の除票の保管期間>

そのため、戸籍謄本を取り進める過程で、取得できない戸籍謄本が出てくることがあり、祖父母(場合によっては親)が亡くなっていることを戸籍謄本で証明できないケースがまれにあります。

4.死亡の蓋然性が高い場合は

上述のとおり、原則は直系尊属である親、祖父母の死亡の記載のある戸籍謄本が必要ですが、廃棄処分などで証明できないケースがあります。

その場合は「兄弟姉妹は相続人となれないのか?」というと、もちろんそういうわけではなく、祖父母が明らかに生存していないであろう年齢、つまり死亡している蓋然性が高ければ、死亡していると判断され死亡の記載のある戸籍謄本がなくても手続きを進めてくれます。

5.明らかに生存していないであろう年齢とは?

この「明らかに生存していないであろう年齢」とはいったい何歳のことをいうのかですが、まずは祖父母の生年月日をみます。

生年月日からみて、現在の日本人最高齢を超える年齢であれば、亡くなっている蓋然性が非常に高いといえるため、法務局や家庭裁判所は(戸籍謄本で確認したわけではないが)祖父母がすでに亡くなっていると判断します。

そうでなければ、さらに上の世代(曾祖父母、高祖父母・・・)の死亡を証明する必要が出てきますが、現実的に不可能です。

不可能なことを求めること自体無意味ですし、キリがないため法務局などはそこまで求めずに、「生年月日からみて亡くなっているな」と合理的な判断をしてくれます。

戸籍が取れないなどで、そもそも祖父母の生年月日が不明のケースもありますが、その場合は被相続人の親の年齢から間接的に判断します。

被相続人の親の年齢からみて、その親(被相続人の祖父母)が明らかに亡くなっているであろうと推認できるのであれば、具体的に生年月日が分からない場合であっても、すでに亡くなっていると判断されることがあります。

ただ、法務局や家庭裁判所によっては扱いが異なる場合があるため、事前に確認することをオススメします。

6.まとめ

相続手続きの際に、兄弟姉妹が相続人となる場合は、親がすでに亡くなっていることを戸籍謄本で証明する必要がありますが、加えて、祖父母もすでに亡くなっていることを証明する必要があります。

親だけでなく祖父母も直系尊属として第2順位の相続権をもつからです。

ただ、すでに死亡していると間接的に判断された場合は、戸籍謄本で証明できなくても相続手続きを進めることができます。

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