
1.遺言書を書いても自由に財産は使える?
遺言書を作成した方から、「遺言書を作成した後は自分の財産を自由に使えなくなるのですか」といったご質問をたまに受けます。
遺言を書いたことにより財産を使えなくなるか、ですが、そのようなことは一切ありません。
遺言書を書いたからといって自分の財産が何か制約を受けるようなことにはなりません。
遺言は遺言者が死亡してはじめて効力が生じるものです。
それまでは遺言者の財産なのです。
ですから、いくら遺言書を残しておいたとしても、自分の財産なので、当然、処分も含めて自由に使うことができます。
2.財産が増減するのは当たり前
生活費として預貯金を使うこともあるでしょう。その場合は当然、財産は減少していきます。
また、収入が増えたり、投資をしたことによって財産が増加することもあります。
遺言書には「遺言者の相続開始時に有する財産を相続させる」とする内容の遺言を残すことがよくあります。
遺言の対象となる財産は、相続開始時に有する財産が対象になります。
極端な例ですが、その時点で財産が何もなければ受遺者は何も財産を受け取れないだけの話なのです。
たとえば、妻に遺言者名義の預貯金のすべてを相続させるとした遺言書を残したとします。
しかし、遺言者が生活費として使用していった結果、ほとんど預貯金がカラになってしまったとしても、何ら問題はありません(自分の死後の、妻の生活保障の面では問題があるかもしれませんが)。
遺言と生前の行為が矛盾する場合、その矛盾する部分については遺言が撤回されたとみなされるだけです。
3.まとめ
遺言書には有効期限のようなものはありません。
詳しくは<遺言書に有効期限はある?>
遺言書を書いていたとしても、自分の財産なのでその使用が制限されるわけではありません。
自分の財産を自由に使うことは、何ら後ろめたいことではないのです。
したがって、財産が使えなくなるのではないか、と不安で遺言書作成を迷っているのであれば、何も心配する必要はありません。