遺産分割協議の誤解、勘違いのまとめ

遺産分割協議は一生にそう何度も行うものではありませんので、遺産分割協議(書)について誤って理解されている部分があります。

以下では、そのような「よくある誤解」をまとめてみました。

多数決ではダメ

相続人全員の一致が絶対条件です。

実際に一同に会して話し合う必要はない

必ずしも相続人全員が一堂に会して話し合う必要はありません。個別に会って話すことも、さらには電話や郵便のやり取りだけでも問題ありません。

もっとも、顔を合わせて話し合うことが最善なのは言うまでもありません。

遺産分割協議書に収入印紙を貼る必要はない

課税文書ではないため、収入印紙を貼る必要はありません。

遺言書があっても遺産分割協議をすることができる

相続人全員の合意があれば、遺言書とは異なる内容での遺産分割協議を行うことも法律上可能です。

ただし、遺言執行者がいる場合で、遺言執行者をまったく無視して遺産分割協議を進めることはオススメしません。

また、受遺者が相続人以外の者であれば、当然その者の同意が必要となります。

 

詳しくは<遺言書があるのに遺産分割協議はできる?遺言内容と異なってもいい?>

特定の相続人が債務を相続する旨を定めても債権者には対抗できない

特定の相続人が債務を相続する内容の遺産分割を成立させても、債権者にはその内容を主張し、対抗することはできません。

もっとも、債権者には主張して対抗できない、というだけで相続人の間では有効です。

遺産放棄をしても債務は相続する

遺産分割の場で、「自分は財産は何もいらないため、放棄する」としてハンコを押したとしても、それはいわゆる遺産放棄であり、相続放棄とは異なります。

したがって、自宅や預金などのプラスの財産は相続しませんが、借金などの債務は相続します。

 

詳しくは<相続放棄と遺産放棄の違い>

遺産分割協議に期限はない

法律上の期限はありませんが、ことさらに長く放置することは相続関係が複雑になるおそれがあります。

また、相続税がかかるような相続であれば相続開始後10か月内に終えておくことです。

遺産分割後に遺留分の請求は難しい

遺産分割協議で合意した相続人が、後になって遺留分侵害額請求をすることは難しいです。

そもそも遺産分割は相続人全員が合意したうえなので、「権利が侵害されている相続人」が考えられません。

ただし、相続人全員の合意のもと、遺留分侵害請求をした相続人に対して遺留分に相当する部分を与えるような協議をやり直すことは可能です(ただし、贈与税の問題があるので要注意です)。

 

詳しくは<遺産分割協議はやり直せる?遺産分割の法定解除、合意解除>

関連記事