
代襲相続により、孫などの直系卑属や甥姪が相続人となることはよくあります。
しかし、子の子が代襲相続しないケースがあります。
それは養子縁組が関係してきます。
1.代襲相続
まず、代襲相続とは以下を原因とする場合に、その子などが代襲相続、つまり代わりに相続人となることです。詳しくは<だれが法定相続人となるか?その法定相続分は?>
代襲原因
①以前死亡(同時死亡含む)
②相続人廃除
③相続欠格
なお、相続放棄は代襲原因になりません。
2.養子の子が代襲相続する場合、しない場合
代襲は上記①②③の原因で起こりますが、①のケースでも代襲相続しない場合があります。
それは、養子の子が養親を代襲相続する場面で問題となります。
たとえば、AとBが、養親をA、養子をBとする養子縁組を平成25年に組みました。
縁組前の平成20年には養子Bには子Cが生まれています。
縁組後の平成27年には養子Bには子Dが生まれています。
平成30年に養子Bが死亡し、その後、平成31年に養親Aが死亡したとします。
養親Aの相続人はだれか
養子Bが先に死亡しているため、代襲原因①の以前死亡にあたります。
この場合、C、Dどちらも養親Aを代襲相続できるしょうか。Aの相続人になれるでしょうか。
◆養子縁組「前」に生まれた養子の子
養子縁組前の養子の子であるCはAの直系卑属ではないため(血族関係がない)代襲相続できません。
◆養子縁組「後」に生まれた養子の子
一方で、Dは養子縁組後の養子の子であるため、Aの直系卑属にあたり(血族関係がある)、代襲相続できます。
3.養子の子を養子としている場合
なお、被相続人が養子の子(C)をさらに養子としていれば縁組の前後問わず、養子の子は相続人となります(代襲相続とは別の問題)。
4.まとめ
養子の子が代襲相続人となるかどうかは、養子縁組日の前後によって結論が変わってきます。
このような知識は、何となくでも知っているかどうかで判断を左右する場合がありますので、相続人確定のために戸籍を調査しているときに、養子が被相続人より先に死亡している場合は上記のパターンを思い出して注意しましょう。