成年後見人に利益となる遺言を書いたらどうなる?遺言が制限されるケース

遺言書を作成することは本人の自由です。

しかし、その遺言書作成が法律上、制限されるケースがあります。

1.成年後見人に有利となる遺言

家族以外の者が成年後見人に選任されている場合に、成年被後見人が、後見の計算が終了する前(※)に、成年後見人の利益となる遺言を作成した場合、その遺言書は無効となります。

(※後見の計算が終了する前とは、被後見人の能力が回復して、後見が終了した場合、成年後見人は後見終了までの収支を計算する必要がありますが、その計算が終了する前のことです)

なぜなら、成年後見人は被後見人に対して立場上、影響力が非常に強いことが通常です。

極端な話し、後見の計算が終了する前、つまり後見が続いている間においては、成年後見人が無理やり自分に有利な遺言を書かせる可能性もゼロではないからです。

そのようなことがないように、あらかじめ、法律でそのような遺言を制限し、仮にされた場合は無効としているのです。

もっとも、後見の計算が終了した後においては、そのような不当な干渉がされる可能性は少ないため、制限はされていません。

2.無効とはならないケース

一方、以下の者が成年後見人の場合、その者に利益となる遺言を書いても無効にはなりません。

◆被後見人の直系血族(親や子、孫)

◆被後見人の配偶者

◆被後見人の兄弟姉妹

これらの者に有利な遺言を書いたとしても、無理やり書かせるといったおそれが他人が成年後見人に選任されている場合と比較して少ないといえます。

また、これらの者はそもそも将来的に相続人となる可能性があるため、遺言を制限して無効とする必要性に乏しいのです。

3.まとめ

(能力を回復した)成年被後見人としては、純粋に、自分の意思にしたがって成年後見人に利益となる遺言を書いたとしても、時期によっては遺言が制限されることがあります。

ただ、一定の親族が成年後見人に選任されている場合、いずれは相続人として相続する地位にいるため、その者に有利な遺言であっても無効とする必要性は低いです。

なお、被後見人が能力を回復して遺言書を書けるようになったとしても、後々、遺言の有効性を巡って相続人間で争いが起きるおそれもあるため、公正証書遺言で作成することをオススメします。

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