公正証書遺言の証人とは?だれでもなれる?

公正証書遺言を作成する場合、証人2名以上の立ち合いが必要となります。

そこで、以下ではその証人はだれがなれるのか、準備できない場合は遺言を作成することはできないのか、などを解説いたします。

1.証人とは

公正証書遺言を作成する際には証人2名以上が立ち合わなければならない、と民法に規定されています。

証人2名の立ち合いが必要な理由としては次のものが挙げられます。

◆遺言者に人違いがないこと、確かに本人であることの確認のため

◆遺言者が自分の真意に基づいて、自分の意思で遺言をしているかの確認のため

◆紛争予防のため

2.証人になれない者

ではその証人、だれでもなれるのか。

基本的には資格制限はありませんが、以下の者は証人にはなれないことが民法に定められています。

①未成年者

②推定相続人、受遺者およびその配偶者ならびに直系血族

③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および使用人

これらの者以外であればだれが証人になっても問題ありません。

①は事前に本人確認書類を公証役場に提出するため、すぐにわかりますし、③は想定しにくいでしょう。

一方で②は案外、盲点ではないでしょうか。受遺者は証人になれない、というのは何となくわかりそうですが、その配偶者や子もなれません。

ちなみに、欠格事由のある者が証人となった場合、その遺言は民法の要件を満たしていないとして、無効となります。

3.証人を準備できない場合

証人は前述の者以外であれば基本的にだれがなっても問題ありませんが(当然、判断能力を有していることが前提です)、遺言書の作成は公証役場においてだいたい平日10時から16時の間に行われるため、2名を準備することが難しい場合もあります。

また、身内や知人に遺言を作成したことや、遺言内容を知られたくない場合もあるでしょう。

そのようなときは、司法書士などの専門家に依頼するか、公証役場において手配してもらうことができます。

したがって、証人が準備できないから公正証書遺言の作成をあきらめる必要はまったくありません。

なお、証人の日当として、通常1万円前後がかかります(出張遺言であれば、出張先によってはそれ以上かかる場合もあります)。

4.証人がやるべきこと

証人が作成当日までにやっておくことは基本的にはありませんが、必ず公証役場(または病院などの出張先)に出頭する必要があるので、体調管理には気を付けることです。

当日は、認印と運転免許証などの本人確認資料を持参します。

証人は、公証人が遺言を読み上げる際に遺言者とともに同席して遺言内容や遺言者の意思、真意を確認していきます。

間違いなく遺言者自身の真意にでた遺言であることを確認し、遺言内容にも問題がなければ、最後に遺言書原本に署名押印します。

もし、明らかに問題があったのに故意や重大な過失によってそれを見逃して署名押印してしまうと、後日、裁判などになったときに責任追及される可能性がありますので、確認は慎重に行うべきです。

所要時間は、遺言内容にもよりますがだいたい20分から30分くらいです。

5.まとめ

公正証書遺言を作成する場合は証人を準備する必要があります。

証人になれない者は限定的です。

しかし、平日の一定時間、しかも2名準備することは案外難しいでしょう。

その場合は手配も可能なので(費用はかかりますが)、準備できないからといってあきらめる必要はまったくありませんのでご安心ください。

関連記事