銀行口座を相続した際の名義変更の手順、ポイント

1.預金口座の相続手続き

相続人間で遺産分割協議が無事成立した後は、相続手続きに取りかかることになります。

まず、はじめに思い浮かぶ手続きとしては被相続人の銀行預金口座の解約、名義変更手続き(相続人の口座に預金を移す)ではないでしょうか。

銀行口座は最も身近なものとして、また、整理しておかなければ残された家族、特に専業主婦や未成年者の子がいる場合、扶養されていた者の日々の生活に影響がでますので、数ある相続手続きの中で、まず一番に取りかかることです。

現在では給与振込み用口座、生活資金用口座、住宅ローン用に作った口座など銀行口座を複数行持っていることが通常です。

預金額の多い銀行からはじめて、まずは当面の生活費を確保する必要があります。

金融機関によって口座名義を変更する方法は異なりますが、全国展開しているメガバンクや都市銀行はどこの支店・店舗でも対応してくれる場合が多いです。

一方、信用金庫、信用組合や地方銀行についてはその通帳口座の支店でしか手続きを受け付けていない場合もありますので、事前に確認しておいた方が良いでしょう。

2.手順

具体的にどのように進めればよいか、ですが一般的には以下の流れになります。

①金融機関へ申出

まずは口座の名義人が死亡したことを連絡します。

この時点で口座は凍結され、基本的に出入金などの取引一切が停止されます。

②必要な書類の準備

必要な書類は後述のとおりです。

③必要書類を提出

取り揃えた書類を窓口に提出し、その場で振込先伝票などを記入して終わりです。

なお、郵送のやり取りのみで完結してくれる金融機関もありますので、各ホームページで確認するとよいでしょう。

④解約、払い戻し

書類提出後、金融機関のほうであらためて精査し、確認が終わると大体3週間ほどで指定の口座に振込手数料が引かれた金額が入金されます。

3.必要書類

金融機関に提出する書類は基本的に次のものになります(ただし、金融機関によって必要書類やその有効期限が異なる場合があるため、事前確認は必須です)。

(1)相続人全員の実印が押された遺産分割協議書(または遺言書)

(2)戸籍謄本一式(または法定相続情報証明)

(3)相続人全員の印鑑証明書(遺言書の場合は不要)

(4)相続預貯金の通帳、印鑑やキャッシュカード

(5)各金融機関所定の相続届け出書(申込用紙)

(6)預金取得者の印鑑

(7)預金取得者の身分証明書

以上の書類を担当者が確認後、被相続人の口座がほかにないかを検索してくれますので、そこで新たに口座が判明する場合もあります(判明した口座は、比較的残高が少額の場合が多いです)。

各金融機関には所定の用紙がありますので、窓口で受け取ります。相続手続きをしたい旨の連絡をしておけばスムーズに対応してくれます。

なかには郵送してくれる金融機関や、ホームページから用紙をダウンロードできる金融機関もありますので、活用するとよいでしょう。

これらの書類を窓口に提出すると、その場でコピーを取ってくれて、原本はそのまま返却してくれます。

基本的に担当者が自分で確認しながらコピーを取っていきますので、あらかじめコピーを用意しておかなくても大丈夫です。

4.ゆうちょ銀行の場合

なお、ゆうちょ銀行の口座がある場合、手続き方法は他の金融機関と若干異なります。

まず最寄りの郵便局の貯金窓口で相続確認表の用紙をもらい(もしくはホームページからダウンロード)、そこに相続人関係図や相続対象の貯金口座の情報を記入後、郵便局に提出します。

それから2週間ほどすると相続に関する手続き用紙が送られてきますので、その用紙に各相続人が署名し実印を押印(遺産分割協議書がすでにあればそれによります)や相続人全員の印鑑証明書、戸籍謄本一式など必要な書類を郵便局に提出します。

遺言書があれば遺産分割協議書の代わりに提出します。

必要書類はほかの金融機関と同じです。郵便局の窓口でそれらの書類のコピーをその場で取って原本は返却してくれます。

相続人が元々ゆうちょ銀行の口座を持っていればその口座に1週間ほどで入金されますが、持っておらず新規に開設もしない場合は払戻証書が送られてきます。

その払戻証書を郵便局に持って行けば、その場で、そこに記載されている額を現金で受け取ることができます。

4.まとめ

預金の解約などの手続き自体は面倒ですが、そこまで難しい手続きではありません。

しかし、それまでの戸籍収集や相続人の調査、遺産分割協議書作成などは煩雑で専門性を有する場合もあります。また、預金の解約手続き以外に付随する手続き(遺言書の検認など)が必要になる場合があります。

また、当然ながら平日のみの対応です。

「一連の手続きが面倒」「時間が取れない」と感じたのであれば、専門家に相談することをオススメします。

関連記事