路線価?時価?遺産分割での不動産の評価

1.遺産に不動産があると

遺産のなかに不動産がある場合、相続人の間で問題となることがあります。

どういうことかというと、以下のような相続関係があるとします。

 

被相続人・・・父

相続人・・・長女、二女の2人

遺産・・・自宅不動産と預金2000万円

 

父と同居していた長女はそのまま自宅不動産を相続し、すでに別居している二女は預金を相続したい。

それぞれ相続したい遺産は明確であり、平等の割合でと考えています。

2.不動産の評価は?

不動産の評価方法には基本的に以下の4つがあります。

 

・公示価格

・路線価

・固定資産税評価額

・実勢価格(時価)

 

詳しくは<相続した土地の評価はどうする?>をご覧ください。

3.相続人の評価方法が異なると?

不動産の評価、つまりは不動産の価格をどうするかで長女(二女)が相続できる預金額が変わってきます。

不動産の価格を「固定資産税評価額」とするケース

上述の例でいうと、たとえば不動産の固定資産税評価額が500万円とします。

長女はその金額を基準に遺産分割を進めたい。

そうすると、(長女のなかでは)遺産合計額は預金2000万円を足した2500万円。

これを均等の割合で相続するとなると1250万円(2500万円÷2)が長女の取り分となります。

したがって長女は不動産の500万円と預金750万円を相続することができます。

一方、二女は預金1250万円を相続し、取得割合は均等となります。

不動産の価格を「実勢価格」とするケース

しかし、二女は不動産を実勢価格で評価したい、と考えており、その額は1000万円とします。

これに預金2000万円を足すと(二女のなかでは)遺産合計額は3000万円。

二女はそのうち預金1500万円(3000万円÷2)を相続します。

一方で長女は不動産1000万円分を相続するため、預金の取り分は500万円だけ。

これで各人1500万円ずつ均等で相続します。

4.不動産の評価次第で預金の取り分が変わってくる

ざっくりとした例ですが以上のとおり不動産の評価額が低いと長女はその分、預金の取り分が多くなり、逆に不動産の評価額が高いと預金の取り分が少なくなる、といった結果になりました。

このように、不動産の評価方法をどうするかで最終的に相続できる金額が変わってくることがあるので、相続人の間で争いに発展しやすいところでもあります。

遺産分割において不動産をどう評価するかは特に法律で決まっているわけではないので、まずは相続人の間で決めていくことになります。

5.評価方法が決まらないと

不動産の評価方法をどうするかで結論が全く変わってくることもあるので、相続人の間で揉めることがあります。

話し合いで合意できればよいですが、そうともいかないで家庭裁判所での調停、審判といったことも。そうなると解決まで1年、といったことも珍しくはありません。

調停、審判となると場合によっては不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて不動産の評価額を決めることもあり、思わぬ費用がかかるかもしれません。

6.まとめ

遺産に不動産がある場合、その評価方法によっては各相続人の取り分に影響を及ぼすことがあります。

評価額、評価方法はあくまで相続人の合意を前提とするので、「不動産の価格は実勢価格で」と皆が納得すればもちろんのこと、上記で示した方法以外の方法や金額で合意したとしても全く問題ありません。

しかし、不動産は一般的に高額なので、相続人のトラブルになりやすいところでもあります。

 

「不動産をどのように評価すればよいか」

「評価方法が相続人の間でまとまらない」

 

といった場合は、専門家に相談することをオススメします。

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