
1.換価分割に関与する者
換価分割は比較的取られる分割方法ですが、その際には多くの専門家や業者が関与することになります。
したがって、どこに相談、依頼すればよいか迷うこともあるかもしれません。
以下では、換価分割にあたって関与する、することになる専門家・業者をご紹介します。
◆司法書士
相続登記をはじめとした相続手続きや、売買による買主への名義変更登記や抵当権設定登記に関与します。
◆税理士
相続税の申告や譲渡所得税の申告に関与します。
◆測量士
土地の地積を正確に測るため、測量を行う場合に関与します。
◆土地家屋調査士
建物を取り壊した際の建物滅失登記や、土地を分筆した場合の分筆登記に関与します。
◆不動産業者
買主を探すために、媒介契約をします。
媒介には基本的に専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があります。
◆解体業者
建物を取り壊し、更地にして売却する場合に関与します。
◆遺品整理業者、撤去業者
家の中の遺品の整理や残置物、不用品などを処分する場合に関与します。
◆弁護士
相続人間で分割方法に争いがある場合には弁護士が遺産分割の調整や相続人間の交渉に関与します。
基本的に中立的な立場というわけではなく、依頼者の最大限の利益を図ります。
◆不動産鑑定士
不動産の評価方法や金額について相続人間に争いがあれば関与します。
売却代金の値付けにあたって意見を求めることもあります。
2.放置することはデメリットしかない
子が独立して居も構えている。
家庭も持ち、仕事も持っています。
実家を相続してもそのままにしている、ということがあるかもしれません。
その場合の遺産分割方法としては換価分割になりやすいです。
配偶者が生存していれば、そのまま配偶者が住み続ければよいですが、配偶者に先立たれて被相続人が一人暮らしをしていたような場合。
または、配偶者が施設に入所している場合。
これらのように、今後はだれも住む者がいないといった状態になるのであれば、自宅をそのまま残しておくことは以下のようなデメリットが出てきます。
◆固定資産税や維持・管理費など、固定費がかかる
◆家屋の劣化などで近隣に迷惑をかけるおそれがある
◆他人に損害を与えた場合は損害賠償義務を負うこともある
◆相続未登記物件が増える原因となる
これらのデメリットやリスクを負うのであれば、実家を売却することは抵抗があり二の足を踏むかもしれませんが、相続を機に、いっそのこと売却を考えてみても良いのではないでしょうか。
3.まとめ
相続した不動産を売却するといっても、相手方(買主)のあることですし、そう簡単にはいきません。
いざ売却となった場合でも以上のように様々な職種の人間が関与し、多種多様な課題を乗り越えていく必要があります。
それぞれと詳細な打ち合わせを重ね、場合によっては現地に立ち会わなければならないケースもあります。
当然ながら各所への報酬も発生しますし、税金がかかることもあります。
したがって、単純に遺産を分ける「現物分割」や、金銭などの代償財産を支払うだけの「代償分割」に比べ、手間や時間、費用がかかる分割方法となります。
初動で判断ミスをしてしまうと、あとあと面倒なことになる可能性もあるため、対応に迷った場合は専門家に相談することをオススメします。