相続放棄者がいる場合の相続登記

1.相続放棄した者は協議に参加できない

遺産分割協議は相続人全員が参加する必要があります(一同が集まって行うことまでは不要です)。

そして、相続による名義変更を行う際、戸籍謄本や住民票などを法務局に添付書面として提出します。また、相続人間で遺産分割協議を行っているのであれば、相続人全員の印鑑証明書付きの遺産分割協議書を添付します。

しかし、相続人の中に相続放棄者がいる場合はどうなるでしょうか。

相続放棄者は相続人ではなくなるため、協議に参加できません。

また、相続放棄をした事実は戸籍に記載されません。

法務局は提出された戸籍一式から、相続人全員を調査します。

ところが、提出された遺産分割協議書を見て、

「戸籍に載っているこの相続人はなぜ協議に参加していないのか?」

「署名押印していないが問題ないのか?」

と思います。

そのため、そのままでは相続人が欠けた遺産分割として、協議不成立と判断され相続登記が却下されてしまいます。

そこで、「この遺産分割協議書は無効ではない」「相続人の1人が参加していないが、遺産分割協議は有効である」ということ分かってもらうために、それを証明する必要があります。

2.相続放棄申述受理通知書をつける

どのような方法で証明するかというと、相続放棄の受理後、相続放棄申述受理通知書が家庭裁判から送られてきますが、それを法務局に提出します。

家庭裁判所発行のその書面を確認することにより、法務局はその相続人が確かに放棄していることが分かるのです。

原本を返却してほしい場合は、申請の際、受理通知書のコピーも提出しておき、そこに原本を返却してほしい旨記載して、住所、氏名を記載し押印しておけば返却してくれます(原本還付といいます)。

なお、以前までは相続放棄申述受理通知書ではなく、相続放棄申述受理証明書が必要でしたが、今では受理通知書でもよくなりました(平成27.6登記研究第808号)。

受理通知書は相続放棄が受理されると家庭裁判所から当然に送られてきます(まさに受理したことを通知してくれる書面です)。

一方、受理証明書の方は、別途、請求申請しなければ発行されません。

ややこしいですが、受理通知書と受理証明書があるのです。

受理通知書でもよくなったため受理証明書を請求する手間が省けたので、相続登記の面においては申請人の負担が軽減されたといえます(法務局に出す場合は受理通知書でもよいですが、債権者の中には受理証明書を要求するところもありますので、その場合は別途、受理証明書が必要になってきます)。

3.まとめ

相続放棄の事実は戸籍に記載されないため、法務局などで手続きを行う場合は、それを証明する必要があります。

以前とは違い、基本的に受理通知書で対応してくれるため、申請人の負担は軽減されました。

受理通知書の再発行はされませんので、紛失には気を付けておくことです。

仮に紛失してしまった場合は、別途、受理証明書を請求しましょう。

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