無効となる?問題のある遺言書

1.問題がある遺言書

過去、遺言書の問題事例をいくつかご紹介してきましたが、追加で、以下のような問題のある遺言事例も見聞きしたことがありますので、同じようなミスをしないよう、今後のご参考にしてください。

三人で仲良く分けるように、との遺言

仲良く分ける、といった言い回しは、それが均等に分けるものなのか、それとも相続人の話し合いのうえで割合を決めて分けることを意図しているのかが不明瞭、不明確です。

均等に分ければ仲が良いのか、生前にお世話を多くした相続人が多くもらうことが仲が良いといえるのか、といったところとなり、典型的なトラブルに発展するケースといえます。

西暦と和暦を併記しているが、一致しない

西暦2022年は和暦だと令和4年となります。

たとえば、遺言書を書いたはいいが、肝心の日付の記載が「2022年(令和3年)〇月〇日」と西暦と和暦が一致しないケースです。

いつ作成された遺言書なのかが分からず、トラブルのもとになります。

一部分だけ明らかに筆跡が違う

遺言書は全文、日付、署名は遺言者本人で書く必要があります。

ところが遺言書のうち、記入箇所によって筆跡が明らかに違うケースです。遺言書の作成を促した親族が関与していると、このようなことが起こることも。

たとえば、本文のところは本人が自分で書いたが、署名の部分が明らかに違う筆跡で、かつ違うペンを用いて書かれている場合です。

高齢者の方や、病気を患っている方が全文を自書するとなると、かなりの負担となる場合があります。

たとえ親切心で手伝ったのであっても、他人が書いたと思われる箇所があると全部が無効となってしまう可能性があるので、必ず全文、日付、署名は遺言者本人が書くことです。

修正ペンで訂正している

遺言書の訂正方法は、容易に改ざんができないよう法律で厳格に定められています。

 

詳しくは<記載ミスがあった!遺言書の訂正方法>をご覧ください。

 

にもかかわらず、法律の方式にのっとっていない方法、その代表例がいわゆる修正ペンを使って訂正してしまっている遺言書です。

遺言書に限らず契約書などでもいえますが、修正ペンでの修正は普段、法律に縁のない一般の方がついやりがちなケースなので要注意です。

条件があいまいな遺言

遺言は、条件(負担)を付けることができます。

「〇〇銀行の預金口座については長男に相続させるが、私の妻が亡くなるまで面倒をみることを条件とする」

「自宅は長男に相続させる。ただし、その条件として、長男は二男に毎月〇万円を送金すること」

といったようなものです。

この条件(負担)があいまいな書きぶりだと無用の混乱を招くだけなので、明確に、だれが見てもその条件(負担)が何であるか判断できるように書いておく必要があります。

たとえば、「長男が生活に困っている場合を条件として、長男に自宅を相続させる」といった遺言は主観的要素が強く、あいまいな表現でしかありません(生活に困っている程度はだれが見ても分かるものではありません)。

2.まとめ

以上のとおり、問題のある遺言をいくつかご紹介しました。これらは、いずれも専門家を交えずに、自筆で遺言書を残した場合です。

専門家のアドバイスのもと作成していればこのようなミスを防げますし、公正証書遺言であればなおさらです。

遺言書を作成する場合は、自分だけで完結させず、専門家の意見のもと、公正証書遺言で作成することをオススメします。

関連記事