「争族」・「争続」になりやすい6つのケース

遺産分割を円滑、円満に終えることができればよいのですが、残念ながらそうはいかず相続人間で争う「争族」・「争続」(以下、まとめて「争続」といいます)となってしまうケースがあります。

以下では、争続になりやすい、なってしまうケースを6つ紹介します。

1.遺産が少ない

よくドラマなどでは、遺産争いは資産家の中で繰り広げられるものとして描かれます。しかし、意外に思われるかもしれませんが、遺産が少ない方が争続になる可能性が高いです。

司法統計によると、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件の遺産の価額割合をみると、5000万円以下が実に76%、4分の3以上を占めています。

遺産が多いと、それだけ柔軟に各相続人に分配できますが、遺産が少ない場合、たとえば預貯金はあまりなく、遺産として不動産のみ、自宅のみの場合だと次のようにもめる可能性が高いです。

◆自宅を売却してその売却代金を分配したいが、母親がずっと住んでいるため、売れない、長年住み慣れた家を出ていくことに反対している

◆自宅以外に遺産がないため、仕方なく不動産を共有で取得しても管理や処分の方法などで意見の食い違いが起きる

◆不動産は金銭などと違い、簡単に分割して分けることができないため、少しでも自分の持分を多くしようとして、取得割合でもめる

2.生前に特別受益を得ていた

生前、被相続人から特別受益を得ていたとして、ほかの相続人から主張され、もめるケースがあります。

被相続人から遺贈を受けたり、婚姻や生計の資本として贈与を受けた者は、それらの利益が特別受益として最終的な取得分に影響します。

つまり、遺産の前渡しとして、他の相続人から特別受益が主張され、もめるケースです。

しかし、特別受益を受けた者は、特別受益とされると自己の取り分が減ってしまうため、当然それを否定します。

なお、なにが特別受益にあたるのか、あたらないのかの判断は蓄積された判例をもとに財産の額や家族構成、被相続人との関係性など個別的な事情を総合的にみて判断します。詳しくは<特別受益とは?なにが特別受益にあたる?>

3.前妻(前夫)との子がいる

被相続人に前の配偶者との子がいた場合は、その子も相続人となりますので、争続になりやすいです。詳しくは<連れ子は相続できる?前妻との間に子がいる場合は?>

4.特定の相続人が介護などのお世話をしていた

被相続人の生前に、介護のため特定の相続人がお世話をする、中には自分の生活を犠牲にし、同居して生活面の一切の面倒をみることがあります。

お世話をしていた相続人としては、自分が一番苦労したからその分多く遺産をもらいたいと考えるのが通常でしょう。

介護の期間が長年にわたっていればなおさらです。

そこで、お世話などをしていた相続人は寄与分を主張することがあります。詳しくは<一番介護をしたから・・・。寄与分とは?その条件は?>

しかし、他の相続人としては、介護の問題と相続問題とは切り離して、法定相続分に沿った、その貢献を考慮しない内容での主張がされ、争続に発展するケースがよくあります。

また、子の妻などが、義理の両親のお世話をすることも少なくありません。

しかし、義理の子は養子縁組をしていない限り相続人ではないため、遺産を相続することはできませんし、寄与分を請求することもできません(※)

(※なお、子の妻のような相続人ではない親族の貢献などに報いるため、新しく特別寄与料の制度ができました。詳しくは<義父母の面倒をみたが相続権はない?特別寄与料とは?>)。

長年の苦労に見合う見返りを求め、子・妻対他の相続人の構図ができあがり、一層ややこしくなる可能性があります。

5.遺産を隠している、使途不明金がある

被相続人の財産を管理していた相続人が、こっそり遺産を隠しているケースもあります。

また、生前、多額の現金が引き出されている場合は、親から頼まれたと言われればそれを覆す証明をすることは困難です。使途不明金として争続、裁判に発展する可能性があります。詳しくは<遺産の不正使用の疑いや遺産を隠している場合は?>

6.遺言の有効性について

遺言で、自分の相続分が減らされている相続人が主張する可能性があります。

つまり、遺言書作成時に認知症などで判断能力がなく、「遺言を作成することはできないはず」「その遺言は無効ではないか」と遺言の有効性を巡って争いになるケースです。

そのようなことが起きないよう、遺言は公正証書遺言で作成することをオススメします。

7.まとめ

以上のとおり、争続になるケース、なってしまうケースは意外なほど多くあります。起きてしまっては遅いこともあります。

そのようなことにならないよう、生前に、適切で有効な対策を講じておくことが重要になってきます。

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