1.成年後見人就任の届出
成年後見人に就任すると、本人の法定代理人として財産管理・身上監護を行うことになるため、成年後見人に就任したことを関係各所に伝えておく、届出る必要があります。
選任された旨が自動的に知らされるわけではありません。
そこで、必ず届出ておくべき部署を以下で示しておきます(届出先は多岐にわたるため、事前に「届出先チェックリスト」を作っておくことをオススメします)。
市役所の各窓口への届出
市役所に必要な届出は多くありますが、ざっと挙げると以下のものがあります。
・介護保険課
・国民健康保険課
・生活(障害)福祉課
・固定資産税課
などなど。
基本的に担当課ごと、それぞれに届出る必要があるため、かなり面倒ではありますが漏らさずに届出ておくことです(自治体によっては一括で受け付けてくれるところもあります)。
金融機関への届出
被後見人が口座を持っている金融機関に成年後見人届出をします。
どこの支店でも対応してくれる金融機関もありますが、中には取引支店のみに限定している金融機関もあるため、事前に確認しておくことです。
届出に際しては最低限、通帳と後見登記事項証明書、成年後見人としての届出印が必要になります(必要な書類は金融機関によって異なる場合があります)。
銀行に届出ると、口座名義が「A成年後見人B」の要領で変更される場合がありますが、本人口座に変わりはありませんので、取引支店や口座番号が変わったり口座自体が成年後見人のもとに移管されるわけではありません(金融機関によって口座名義の表記の仕方や取り扱いは異なる場合があります)。
なお、貸金庫がある場合。
口座開設している支店において本人が貸金庫やセーフティーボックスなどを借りている場合があります。
その場合、成年後見人としては貸金庫を開扉して収容物の確認をしておきましょう。
現金や権利書が入っていることがあり、また、元気なうちに書いておいた遺言書が入っているかもしれません。
開扉の際には中立的な第三者、たとえば行員や成年後見監督人の立ち合いを求めることです。
成年後見人が1人で確認することはオススメしません。
なぜなら、本人が亡くなったあと相続人に財産を引き継ぎますが、その際に、相続人からあらぬ疑い(中にあった現金を持ち出したのではないか、など)をかけられる可能性があるかもしれません。
そのようなリスクに備える意味でも、第三者の立ち合いは必須です。
年金事務所(年金センター)への届出
年金は本人にとって唯一の収入源となっていることが多いです。書類の送付先も含め、就任の旨は必ず届出ておくことです。
届出の際には年金通知書や年金手帳などが必要になる場合がありますので、持参しておきましょう。
また、本人の口座名義を「A成年後見人B」などに変更している場合は、忘れずに年金振込用口座の変更届出もしておきましょう。(日本年金機構ホームページ)
郵便局に郵送物の転送届
本人が施設に入所しても、住民票上の住所は自宅のまま、といったことがあります。
さらに自宅にはだれも住んでいないような状況であれば、郵便局へ郵送物の転送届がされているかどうかを確認しておきましょう。
されていないようであれば、施設に転送してもらうよう届出ます。
なお、成年後見人の住所に転送してもらうことはできません。
入所先施設(入院先病院)
本人が入所(入院)している施設(病院)に成年後見人に就任した旨を届出ます。
成年後見人の職務にあたっては、担当者(主治医)との情報交換、情報共有が非常に重要となるため、連絡はかかさず取っておく必要があります。
2.まとめ
成年後見人に就任したら、その旨を各所に届出る必要があります。
届出先は多岐にわたりますが、成年後見人の大事な職務であるため、忘れずに、就任後すぐに取り掛かることです。
その際には後見登記事項証明書が必要となるため、法務局にて取得しておきましょう。(法務局ホームページ)