相続させる旨の遺言、放棄できる?

1.特定財産承継遺言は放棄できるか?

遺言で財産をあげることを遺贈といいますが、遺贈は受遺者(遺産をもらう人)の判断で放棄することができます。

 

詳しくは<遺贈を放棄することはできるか?特定遺贈と包括遺贈の場合>をご覧ください。

 

ただ、特定の財産を相続させる旨の遺言、これを「特定財産承継遺言」といいますが、この特定財産承継遺言は放棄することができません。

なぜなら、特定財産承継遺言は遺産分割方法の指定にあたり、相続が開始すると、直ちに相続人にその財産(たとえば不動産)が【相続】されるからです。

たとえば、田舎の農地を長男に相続させる旨の遺言がある。

特定の財産(農地)を相続させる旨の遺言。特定財産承継遺言です。

ところが、長男はそのような農地は欲していない。

田舎の農地を相続しても使い道がないといったケースは多いのではないでしょうか。

長男としては、いらない農地だけを放棄したいところですが、上述のとおり、すでに特定財産承継遺言があることにより財産は相続開始時、直ちに承継されているので、長男はその特定財産承継遺言を放棄することができません。

2.遺贈の放棄ではなく、相続放棄

農地がどうしても欲しくない、相続したくない、ということであれば家庭裁判所で相続放棄の申述をする必要があります。

相続自体を放棄するのです。

もっとも、相続放棄をすると、いらなかった農地に限らず全ての財産を相続することができなくなるので要注意です。

3.まとめ

遺言に、いらない財産を相続させる内容が書かれている。

案外あるのではないでしょうか。

そのいらない財産だけを放棄したいところですが、特定財産承継遺言は相続開始後、直ちに財産承継の効果が生じているので「遺贈の放棄」として放棄することができません。

放棄するには相続放棄を家庭裁判所に申述する必要があります。

ただし、相続放棄は全ての財産を放棄することになるので、躊躇するかと思います。

遺言者としては遺言作成時に、もらう人の意思をある程度は考慮したうえで、遺言内容を検討する必要があります。

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