相続税には基礎控除があります。基礎控除額を超えるまでは相続税はかかりません。相続税がかかる場合であっても、税率によって控除額が設定されています。
以下では、基礎控除額の早見表、税率とその控除額をまとめてみましたのでご参考ください。
なお、以下は平成27年1月1日以降の相続が対象です。平成26年12月31日以前に開始した相続は以下とは異なりますのでご注意ください。
<相続税基礎控除額早見表>
法定相続人の数 | 控除額 |
1人 | 3600万円 |
2人 | 4200万円 |
3人 | 4800万円 |
4人 | 5400万円 |
5人 | 6000万円 |
6人 | 6600万円 |
<相続税率とその控除額早見表>
法定相続分に応じた取得額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | なし |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
1.相続税の計算方法
では、実際に相続税を計算する方法ですが、まず、遺産総額と相続人数は次のとおりとします。
遺産総額が「1億円」で債務(借金など)はなし
相続人は妻と長女、長男の「3人」
相続税の基礎控除額は3000万円+法定相続人数(今回は3人)×600万円=4800万円
2.間違った相続税の計算方法
まずは一般的によく誤解されている計算方法を紹介します。
1億円-4800万円=5200万円
5200万円×30%(相続税率)-700万円(控除額)=860万円
この計算方法は間違いです。
860万円が相続税額になるわけではありません。
3.正しい計算方法
次に、正しい計算方法です。以下の順にしたがって算出していきます。
⑴基礎控除後の金額を各相続人の法定相続分で分割して税率を掛ける
1億円-4800万円=5200万円
この基礎控除後の金額5200万円を各相続人の法定相続分で分け、その金額に対して相続税率を掛けて各人の相続税額を出すことになります。
➀妻について
5200万円×4分の2(妻の法定相続分)=2600万円
2600万円×15%(税率)-50万円(控除額)=340万円
②長女について
5200万円×4分の1(長女の法定相続分)=1300万円
1300万円×15%-50万円=145万円
③長男について
5200万円×4分の1(長男の法定相続分)=1300万円
1300万円×15%-50万円=145万円
⑵各人の相続税額を足す
次に、以上で出た各人の相続税額を合計します。
①340万円+②145万円+③145万円=630万円
この金額が正しい相続税額です。
⑶実際に相続する割合で税金を負担する
そして、この相続税額630万円をベースにして、各相続人が実際に受取った相続財産の割合にしたがって税金を負担することになります。
たとえば、遺産分割の結果、
・妻が8分の6
・長女、長男が各8分の1
で相続したのであれば、各人の実際に負担する税金額は以下になります。
・妻の負担税額・・・630万円×8分の6=472万5000円
・長女の負担税額・・・630万円×8分の1=78万7500円
・長男の負担税額・・・630万円×8分の1=78万7500円
そして、この金額から「税額軽減」や「税額控除」があればさらに差し引いていきます。
たとえば、妻については配偶者の税額軽減で1億6000万円を差し引くことができますので、実際には相続税金額は0円になります(配偶者の税額軽減の適用を受けるには、その申告が必要になってきます)。
4.まとめ
相続税の基礎控除、相続税率の早見表と、相続税の計算方法でした。
以上で解説したように相続税の計算方法を誤解している方が意外に多いと思いますので、ご自分で概算を計算する場合には要注意です。
また、相続税には未成年者控除や相次相続控除など、他にも様々な税額控除が用意されています。
一方で、相続税の2割加算の制度もあります。(国税庁ホームページ)
それらも忘れずに検討する必要がありますので、具体的な金額の算出方法や各種控除の詳細などについては専門家に相談することをオススメします。