受け取った生命保険金、相続人で分けると贈与になる?

相談事例

先月父が亡くなったのですが、長男である私が父の加入していた死亡生命保険金の受取人となっています。保険金額は1000万円です。

ただ、長女である妹に保険金の半分500万円を渡そうかと考えていますが、渡してしまうと贈与になるのでしょうか。遺産分割の形を取れば問題ありませんか。

また、保険金を渡すことによりなにか税金はかかりますか。

1.保険金は受取人固有の財産

相談事例のように、死亡保険金の受取人として長男が指定されている場合、その保険金は長男の固有の財産として受け取ることになります。

ということは、遺産ではないということなので、保険金を遺産分割することはできません。

2.受け取った保険金を渡すと

相談事例のように自分が受け取った保険金を妹に渡す行為は贈与にあたります。

たとえ、当事者で「遺産分割」といった形を取ったとしても前述のとおり、保険金は長男の固有財産とされるので、法律上は遺産分割の対象とはなりません。

したがって、妹に渡す保険金額が500万円なのであれば、贈与税の基礎控除額110万円を超える部分、この場合390万円が贈与税の課税対象となります。

贈与税率については、<贈与税早見表と贈与税の計算方法>をご覧ください。

 

贈与税がかからないようにするには、たとえば毎年100万円を5年間にわたって贈与を実行していくことも検討した方がよいでしょう(この場合、面倒でも毎回、贈与契約書を作成することです)。

3.死亡生命保険金はみなし相続財産となる

死亡生命保険金は受取人固有の財産となるといっても、それは法務上の考え方で、税務上はみなし相続財産として相続財産の扱いとなります。したがって、相続税の算定にあたっては遺産としてカウントする必要があります。

なお、死亡生命保険金には「法定相続人×500万円」の非課税枠が設けられています。

4.まとめ

死亡生命保険金は受取人の固有の財産となるので、遺産分割の対象とならず、仮に兄弟間で遺産分割をしたとしても、それは単なる贈与と同じことになります。

場合によっては贈与税がかかるので、贈与税のかからないよう暦年贈与の活用などを検討する必要があるでしょう。

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