
1.養子縁組とは
日本には古くから養子縁組という制度がありましたが、現在の民法においては養子縁組には以下の2種類があります。
◆普通養子縁組
普通養子は、一般的にイメージし易い、たとえば婿養子や孫を養子とする場合です。
基本的に養子縁組と言えばこちらの普通養子縁組のことを言います。
縁組後も実親との法律上の親子関係は継続します。
◆特別養子縁組
特別養子は、家庭裁判所の許可を必要とし、主に子の福祉を中心に子の利益のため特に必要のある場合にのみ認められます。
たとえば、子が実親から虐待を受けている、実親による監護が著しく困難など特別の事情がある場合です。
縁組後は実親との法律上の親子関係は消滅します。
2.養子の相続権
普通養子縁組、特別養子縁組問わず、養子縁組をすることによって養親子は「法定血族」となります。
これは血族関係を法律上作ることです(なお、子、実親の関係を「自然血族」といいます)。
そして、養子縁組をした日から、養子は養親の嫡出子となります。
したがって、養親の死亡により、養子は第1順位の相続人として養親を相続します。
養子は実子と同じ権利が与えられますので、実子と養子では法定相続分に違いはありません。実子とまったく同等に扱われます。
3.養子と親の相続関係
養子が親を相続するケース
普通養子は縁組後も実親との親子関係は続きますので、実親が死亡すると、普通養子は実親を相続します。
一方、特別養子縁組後は実親との親子関係は解消されます。
つまり、実親が死亡しても、すでに親子関係は解消されているため特別養子は実親を相続しないということです。
親が養子を相続するケース
普通養子縁組では、配偶者・子がいない養子が死亡し、その者を親が相続する場合(親は第2順位の相続権があります)、養親と実親がそれぞれ養子を相続します。
養父母、実父母の相続持分は均等です。
たとえば養父母、実父母計4人いれば持分は各4分の1となります。
一方、特別養子縁組では、配偶者・子がいない特別養子が死亡し、その者を親が相続する場合は、特別養子と実親はすでに親子関係がありません。
したがって、実親が特別養子を相続することはなく、養親のみが養子を相続します。
4.養子が養親より先に死亡した場合
養子が養親よりも先に死亡し、その後に養親が死亡した場合の相続関係で注意点があります。
それは、養子の子が養親を代襲相続できるかどうかです。縁組の前後によって結論が異なります。
①養子縁組前に生まれていた養子の子は養親を代襲相続しません。
②養子縁組後に生まれた養子の子は養親を代襲相続します。
詳しくは<養子の子は代襲相続するか>
5.まとめ
戸籍を調査している際に、相続人も知らない養子の存在が判明することもまれにあります。
養子は実子と同じように、第1順位の相続人で法定相続分も同等です。養子の記載を見逃してしまうと、相続関係に大きな影響があります。
場合によっては相続人が変わってくる可能性もありますので、戸籍を調査する際は気を付けることです。