1.戸籍謄本などの保管期間は?
戸籍謄本など、相続に必要となってくる公的書面は様々ですが、それらの中には保管期間が設定されているものもあります。
その保管期間。
過ぎてしまうと、廃棄処分がされて、以後取得ができなくなってしまいます。
廃棄処分されると、当然、相続手続きを行うに際して支障が出てきます。
そこで、以下では、種類別の保管期間を解説します。
戸籍謄本(現在戸籍)・・・保管期間はなし
戸籍謄本については、その戸籍内に在籍者がいる限り、保管が続けられます。
在籍者がいる状態で戸籍簿が廃棄されてしまうことはあり得ません。
除籍謄本・・・150年
除籍となった年度の翌年から150年で廃棄処分されます。
ただし、保管期限が150年となったのは平成22年6月1日の改正戸籍法施行からで、それ以前は80年でした。
したがって、それまでに80年を経過していると、すでに廃棄処分されている可能性があります。
ちなみに「除籍となった」とは、以下のことをいいます。
◆戸籍簿に記載されている在籍者全員が死亡した
◆転籍して他の市区町村にあらたに戸籍が作られた
◆婚姻などで他の戸籍に移ったことにより、元々の戸籍にだれもいなくなった
なお、あくまで除籍となってからが期間のスタートなので、単純に150年経過により廃棄されるわけではありません。
改製原戸籍謄本・・・150年
除籍謄本と同様です。起算点は戸籍を改製した日から150年です。
なお、「改製」とは、法律などによって戸籍の様式が変わることです。
様式変更の典型例が「戸籍簿のコンピューター化」です。
ご存じのとおり、以前の戸籍は手書きで書かれていたところ、自治体ごとに順次、戸籍簿がコンピューター化されていきました。
そのもとになった手書きの戸籍のことを改製原戸籍といいます。
戸籍の附票・・・保管期間はなし
現在戸籍と同様で、その戸籍簿に在籍者がいる限り、保管されます。
戸籍の附票の除票・・・150年
戸籍内に在籍者がいなくなると、戸籍の附票は戸籍の附票の除票となります。
なお、令和元年6月20日より保管期間が5年間から150年間に大幅に延びましたが、除籍謄本と同じように、それまでに保管期間を経過したものについては、基本的に廃棄処分されています。
住民票・・・保管期間はなし
その世帯に1人でも世帯員がいる限り、保管されます。
住民票の除票・・・150年間
世帯員全員が市外に転出した場合や死亡した場合で、だれもいなくなると、その住民票は除かれ(抹消され)、住民票の除票となります。
戸籍の附票の除票と同様に、令和元年6月20日より保管期間が5年間から150年間になりました。
それまでに保管期間を経過したものについては、基本的に廃棄処分されていることも同じです。
2.廃棄処分されていると?
保管期間の経過により、廃棄処分されている場合は、廃棄証明書(市区町村によって呼び方は異なります)が発行されます。
記載内容や書式は市区町村によって様々ですが、基本的に「保管期間満了により廃棄処分されたため発行できません」といった内容の証明書になります。
3.保管期間が経過していても廃棄されていないことも
保管期間が経過したことにより、廃棄されるのが原則ですが、自治体によっては廃棄されずに残っているケースもあるので、ダメもとで請求してみることをオススメします。
場合によっては発行されるかもしれません。
4.まとめ
相続関係の調査、手続きをするには戸籍一式が必要になってきます。
ただ、あまり知られていませんが、中には保管期間が設けられているものもあります。
長年手続きを放置した結果、保管期間の満了により、
「取れたはずのものが取れなくなってしまった」
「必要な書面が処分されているから手続きができないのか」
といったことのないよう、書類収集をはじめとして何事も早めの対応をオススメします。