相続登記をしたら不動産会社から営業の手紙がくる原因は?

相談事例

先月、相続登記を完了させたのですが、最近、不動産会社からその相続した不動産の売却をすすめてくる手紙やDM(ダイレクトメール)が届くようになりました。

タイミングが良すぎるので個人情報が洩れているのではないかと思い不安になりますがなぜでしょうか。

1.相続登記をしたら分かる?

令和6年4月から相続登記申請義務化の制度がスタートします。

そのため、最近では相続登記のご依頼が増えてきている印象です。

そのような中、まれに以前お手続きをしたご依頼者様から、

「不動産会社から、相続した土地を売りませんか?といった内容のダイレクトメールが届いたのですがどうすればよいでしょう、、、」

といったお電話をいただくことがあります。

相続登記をした後ということもあって、タイミング的に不安を感じる方もいらっしゃるようですが、もちろん、我々手続きに関与した司法書士などが不動産会社に情報を流しているわけではなく、不動産会社が独自の方法で情報収集しているのです。

2.法務局の不動産登記受付帳

不動産会社が独自で情報収集しているといっても、ランダムに登記簿を取っていき(登記簿自体は数百円を払えばだれでも取れます)、たまたま相続登記をした所有者にヒットしたら連絡を取ってきている、というわけではありません(時間や手間、登記簿代もかかるので、現実問題そのような手法は取らない)。

ではどうしているかというと、法務局には「不動産登記受付帳」というものがあります。

受付帳には、所有者が変更している不動産があれば、その不動産の所在地と変更理由(相続など)が日付順に書かれています。

この受付帳、行政文書にあたるので行政文書開示請求を行えばだれでも入手できます。

行政文書開示請求書に調べたいエリアと令和〇年〇月分といった時期を指定し、法務局に提出します。

指定したエリア、時期の間に所有権が変更されていれば、その事実が一覧表の形で閲覧できます。

ただし、分かるのはそのエリアの不動産について所有権が変更されている事実だけで所有者の氏名住所までは受付帳には記載されていません。

したがって、不動産会社はまずはこの受付帳を入手して、相続により所有権が変わっている不動産を調査していき、個別に該当の不動産の登記簿を取得していきます。

登記簿には所有者の氏名住所が登記されていますので、相続登記をした相続人に手紙などを送って、「弊社に相続不動産の処分をお任せください」といった営業活動を効率よく行っているのです。

もちろん受付帳は不動産会社の営業ツールではないので、本来の目的とは違った使い方をされているのではないか、との疑問も出てきます。

しかし、一定の手続きを踏めばだれでも入手できる文書なので、適正に取得されている以上、使用方法そのものを規制することは難しいのが現状です。

3.まとめ

「相続登記をしたあとに売却をすすめてくるダイレクトメールが送られてきた」

「営業の連絡が来るようになった」

といった声を聞くことがありますが、なぜ相続登記をしたことが分かったのか。

その理由は、不動産会社が行政文書開示請求を行い、不動産登記受付帳を利用することにより、所有権が変更した事実を調査し特定しているということです。

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