遺産の中でも不動産、特に土地の価値が占める割合は大きいでしょう。そのため、その土地の価格、価値を算定しないことにはすべてを決めることができないといった場合もあります。
その土地の評価方法や、評価額についてですが、相続人間で合意できずに争いに発展することも珍しくありません。
したがって、遺産分割協議をするうえで、土地の価格の基準、決定はとても重要になってきます。
1.土地の価格の参考となる指標
土地の価格、評価として参考になるのものとしては主に次の4つがあります。
①公示価格
毎年1月1日時点の地価を公示した価格です。土地取引の指標となります。
国土交通省が毎年3月ごろ公表しています。
②路線価
相続税や贈与税の算定基礎となります。1平米あたりの金額が道路別に定められており、路線価といいます。
路線価で相続税を算定する場合を「路線価方式」といいます。
なお、地方(郊外)や農村部などは路線価がついていないことがあります。
そのような場合は「倍率方式」という方法により相続税を算定します。
◆路線価方式=路線価×補正率など×地積
◆倍率方式=固定資産税評価額×倍率
路線価は国税庁が毎年7月ごろ公表しています。だいたい公示価格の8割の水準といわれます。
路線価・倍率は国税庁ホームページから確認できます。(国税庁ホームページ)
③固定資産税評価額
固定資産税や都市計画税の算定基礎となります。3年に一度評価替えがされます。
だいたい公示価格の7割の水準といわれます。
固定資産税評価証明書(※)や毎年4月から6月ごろに届く固定資産税納税通知書・明細書に記載されていますので、簡単に確認できます。
(※役所、役場の税務課、評価証明書係などで発行、取得できます。なお、相続などの名義変更登記の際の登録免許税算定にも使用します)
④実勢価格
市場にて取引される価格、時価ともいいます。
ただし、価格は時期や経済状況、需要と供給のバランスによって決まるため、あくまで取引価格の目安にはなりますが、実際の売買価格ではありません。
不動産業者によっては査定価格にバラツキが発生することもあります。
2.まとめ
遺産分割協議では、上記評価を参考に、何を基準とするかは相続人の話し合いによります。
相続する財産が複数あり、だれが何を相続するか、の話し合いの前提として土地の価格が決まっていないと公平な遺産分割協議をすることはできません。
不動産を取得しない相続人にとっては評価額を高く見積もって、預金など不動産以外の財産や代償金を多く取得したいと考えますし、逆に不動産を取得する相続人はできるだけ評価額を低く見積もりたいことでしょう。
評価方法などで意見が合わず、トラブルに発展するケースも珍しくありません。