遺言書があるのに遺産分割協議はできる?遺言内容と異なってもいい?

1.遺言と異なる遺産分割

遺言書があるけど、その内容と異なる遺産分割協議はできるかどうかといったご質問を受けることがあります。

遺言は遺言者の最終意思であるため、本来であれば最大限、尊重されるべきです。しかし、現実に遺産を利活用するのは相続人です。

その相続人のさまざまな事情、関係性のもと、

◆その遺言の内容では不都合がある

◆だれも望んでいない内容だ

◆相続人全員の意思に沿っていない

◆相続人全員が遺言書の内容に納得いかない

といったこともあるのではないでしょうか。

また、自筆証書遺言の場合であれば、その方式に不備があったり、遺言内容に不正確な部分があったり乱筆で読めないなど、遺言内容の判断ができない場合があれば、その遺言書にこだわることなく、いっそのこと相続人全員で遺産分割協議を行う方が合理的ではないでしょうか。

2.相続人全員の合意があれば可能

結論から言うと相続人全員の同意があれば遺言の内容とは異なった遺産分割をすることは可能です。

たとえば、被相続人の自宅に同居していた相続人には自宅を与える遺言内容ではなく、独立し別居している相続人に与える内容であったならどうでしょうか。

相続人全員の合意のもと、同居している相続人に自宅を相続してもらった方が自然で相続人全員の意思に沿うことになります。

そのため、相続人全員が合意しているのであれば、そのような遺産分割協議を行うことも可能といえます。

また、そもそも全員が納得し、遺産分割に同意しているのであれば

「その遺言書の方が有効である」

「遺言書があるから遺産分割協議はできない、無効だ」

と異を唱える者はいないでしょう。

3.遺言執行者が指定されている場合

遺言に第三者が遺言執行者として指定されている場合は、その遺言執行者は遺言書に書かれた遺産について執行、つまり遺言内容を実現する権限があり、また義務を負います。

それは、たとえ相続人全員の合意があってもです。遺言執行者に無断で遺言執行を妨げることはできません。

ただし、遺言執行者が了承、同意しているのであれば、遺言の内容と異なる遺産分割も可能です。

遺言執行者も、あえて相続人と争ってまで「遺言内容にしたがうべき」と主張することはないでしょう。

相続人の事情を斟酌して同意してくれるケースが通常なのではないでしょうか。

4.第三者が受遺者の場合

相続人以外の第三者が受遺者の場合は、当然ながら受遺者の意思を無視して勝手に相続人間で決定することはできません。

受遺者の同意があれば遺言と異なる遺産分割も可能でしょうが、通常、受遺者が同意するとは考えられませんので(同意すると遺産をもらえない)、この場合は相続人は遺言内容に拘束されることになります。

5.まとめ

遺言と異なる遺産分割を行うことは、遺言者の意思に反する結果となってしまいます。

相続人として心情的に思うところもあり、心理的な抵抗があるかも知れませんが、実際に相続するのは相続人です。

最終的に全員が納得する内容で、各相続人の実情に即した結果となれば、遺言内容とは別の形で相続することに問題はないでしょう。

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