農地は売れる?農地を相続した場合の3つの対応方法

1.農地を相続したら

田や畑などの「農地」を相続したはいいが、自分は農業はやっていないので困っている、という方は多いのではないでしょうか。

しかし、そうはいっても相続が開始すると当然に財産を承継することになり、それはたとえ農地であっても同様です。

相続人としては農業はやらないので相続を機に農地を売却したい、と思うかもしれませんが、そう簡単な話ではありません。

農地の売買は、農地法という法律で規制されているからです。

農地法とは、簡単に言うと農地を保護するための法律です。

農地を保護する、ということは農地を自由に売ったり、貸したりなどの処分ができないことにもつながります。

農地を自由に処分できるとなると、農業離れが際限なく起きるおそれがあり、そうなってしまうと食糧確保の観点から支障をきたしてしまう、ということです。

ただし、相続は別です。

相続が開始すれば、当然に農地も相続の対象となり、相続人に所有権が移転します。

相続は売買などと違って処分行為というわけではないので、農地法の規制対象とはなりません。

以下では、農地を農地として利用しない相続人の取るべき3つの対応方法を解説します。

①相続放棄

すでに独立し、別居している子が急に農地を相続した場合、農地を「不動産」ではなく「負動産」と考えるかもしれません。

農地は維持管理の手間暇がかかりますし、それにかかる費用や税負担もあります。

そこで、農地以外に特に目ぼしい遺産がなければ、相続放棄を検討してみるのもよいかもしれません。

当然、農地以外の遺産も放棄することになるので、相続放棄をしてもメリットがあるかどうか、を検討して見極める必要があります。

また、相続放棄により相続権が次順位に移る場合もあるため、その点に留意しなければなりません。

②農地を農家に売却

原則、農地は農家にしか売れません。

したがって、相続放棄は考えていない、となれば農地を農地のまま、農家に売ることを検討します。

ただし、農家だからといって誰でもよいわけではありませんし、適切な買主を探すことは簡単ではありません。

売れるかどうか分からない、という状況が長く続く可能性があります。

なお、売却する前提として、相続登記は必須になります。

相続登記をすると、農地を相続した旨の届け出も必要となりますので、忘れないようにしましょう。

 

詳しくは<農地を相続したら届出が必要?>

③農地を農地以外に転用

農地以外にして利活用する、いわゆる農地転用です。

農地を宅地や駐車場に変えて売却、賃貸します。

農地転用には、農業委員会に農地転用届を提出する必要があります。

この農地転用をすれば相続放棄をする必要もないし、わざわざ農家を探して農地のまま売る必要もない、と思うかもしれません。

しかし、実際の土地の現況、利用状況その他もろもろの条件を満たさなければ農地転用は認められないので、そう簡単な話でもありません(詳細は農業委員会に要確認)。

2.まとめ

農地を相続したくない、といって相続登記を放置するケースが日本全国で生じています。

その影響は大きく、いわゆる「耕作放棄地」として、社会問題化しているのは周知のとおりです。

「農地を相続したけどどうすればよいか・・・」

「なにか有効活用できないか」

上述のとおり農地法の規制があるため、農地はそう簡単に処分、変更ができません。

しかし、状況によっては農地転用により利活用できるケースもあるため、専門家に相談することをオススメします。

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