欠席するとどうなる?自筆証書遺言の検認期日について

1.検認期日

自筆の遺言書は家庭裁判所にて検認手続きを経る必要があります。遺言の内容に納得しているので相続人全員が検認は要らない、と判断しても自筆証書遺言では検認手続きは必要です。

家庭裁判所に申立てると、しばらくして相続人全員に家庭裁判所から検認期日通知書が送られてきます。

この書面には、何日の何時に検認をするから家庭裁判所のどこどこまで来てください、と書かれています。

この指定された日(これを検認期日といいます)に、検認のための手続きをします。

 

検認申立について詳しくは<遺言の検認とは?遺言書が見つかったらやるべきこと>をご覧ください。

2.検認期日には何をする?

検認期日には相続人が集まり、遺言書の形式やその他の態様を相続人の面前で確認していきます。封がされていれば、その場で開封されます。

ただ、検認はあくまで相続人に遺言の内容を知らせ、偽造変造を防止する手続きに過ぎないので、その遺言内容が遺言者の真意なものなのか、遺言書そのものが有効か無効なのか、を判断するものではありません。

遺言書自体の有効無効を争うのであれば、別途、遺言確認訴訟などを取ることになります。

 

詳しくは<遺言の無効を主張できる?遺言無効確認請求訴訟について>をご覧ください。

3.検認期日はいつになる?

検認期日は、家庭裁判所が決定しますが、検認の申立をした相続人が期日希望日や逆にだめな日、曜日などを申立時に家庭裁判所に伝えることはできます。

その場合、家庭裁判所はある程度は考慮してくれます。

申立後、2、3週間後に期日が設定されることが多い印象です。

4.検認期日、欠席はできる?

期日指定にあたって、申立人の都合を考慮してくれることもありますが、しかし、申立人以外の他の相続人の都合までは考慮されていません。

したがって、仕事の都合などで家庭裁判所まで行くことができない相続人も当然出てきます。

欠席するとどうなるのか。

期日通知書を受け取った相続人は、その指定された日に家庭裁判所まで行って検認手続きに参加しなければなにか不利益を受けるのか、欠席すると相続権がなくなるのか、といったご質問を受けることがあります。

ただ、上述のとおり、検認はあくまで遺言書の内容を知らせたり、その場で形式その他の態様を確認し調査するために過ぎない手続きなので、欠席した相続人が何か不利益を受けるということはないのでご安心ください。

5.申立人は出席しないとだめ?

相続人は欠席しても何ら問題なく、欠席したとしても期日当日には検認手続きが進められますが、申立人の出席は必須です。

申立人が欠席すると検認は行われませんので、事前に希望日を伝える場合は絶対に出席できる日にしておくことです。

6.検認後は?

検認が終わると、遺言書に検認済証明書が添付され(ホチキスどめ)、その場で渡されます。

検認済証明書をもらうには150円の手数料を印紙で納める必要があるので、収入印紙150円を忘れないよう持参します。印紙は裁判所の庁舎内でも購入できることが一般的です。

検認済みの遺言書を受け取ったら、あとは遺言内容にしたがって執行していくだけです。逆に、検認手続きを経ていないと(検認済証明書が添付されていない)、遺言執行ができない、ということです。

なお、遺言書に遺言執行者の定めがあればその執行者が執行手続きをすることになります。

遺言書に執行者の定めがなければ、相続人全員が受遺者のために執行手続きをするか、もしくは別途、遺言執行者選任申立をすることになります(通常は遺言執行者選任申立をします)。

 

遺言執行者について詳しくは<遺言を実現させる遺言執行者とは?そのメリットや権限>をご覧ください。

7.まとめ

自筆証書遺言の検認手続きにおいて、申立後に検認期日が設けられます。

期日では、家庭裁判所で遺言書の形式などを確認し、問題なければ検認証明書が遺言書に合綴されます。

晴れて、その遺言書にしたがって登記や預貯金解約などの遺言執行に移ることができます。

その期日、欠席したとしても問題ありませんが、検認申立をした当の相続人については出席する必要があるので要注意です。

 

なお、遺言書保管制度を利用した場合は、検認手続きは省略できます。

詳しくは<法務局で遺言書を保管してくれる?遺言書保管制度とは>をご覧ください。

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