相談事例
実は、子供に遺言書を書くかどうかで迷っています。
というのも、子供に財産を与える遺言書を書いてしまうと、書いた後、私が介護を必要とするようなことになった場合に、遺言書があることをいいことに面倒をみてくれなくなるのではないか、と心配しています。
そのようなことはないと思いたいのですが、将来のことなのでどうなるか分からないのが正直なところです。
遺言書を書いた後は子供など家族が面倒をみてくれなくなる、態度が変わってしまう、といったことはあるのでしょうか。
1.遺言の撤回は自由
遺言は、自由に撤回することができますし、イチから書き直すことも自由です。
作った遺言書に不満があれば、後の遺言で撤回することができます。
また、あらためて別の遺言書を作成すれば、内容が抵触する部分について前の遺言は撤回したとみなされます。
したがって、遺言書を書いた後は老後の面倒をみてもらえなくなるのではないか、と心配する気持ちも分かりますが、残念ながら現実にそのような事態になってしまった場合は、遺言書を書き直したり、撤回したりすればよいのです。
実際、遺言書を書いたら邪険に扱われた、といった話も聞くところなので、場合によっては書き直し、作り直しを検討すべきでしょう。
2.まとめ
遺言を作成するのも、撤回するのも遺言者の自由です。
家族からの後押しで作成に踏み切ることはあるかもしれませんが、だれかに強制されて行うものでもありません。
一度作ったからといって、その遺言書に生涯、拘束されることもありません。
そして、子供が、遺言書を作成してくれたことに安心して、老後の面倒をみてくれなくなるケースはまれに聞きますが、そのような場合は、その子供に残した遺言書を撤回すればよいのです。
なお、その際にも当然ながら遺言を撤回するための判断能力、意思能力は必要になりますので、認知症を患い判断能力を欠いてしまった場合、撤回や作り直しなどを行うことは基本的にできません。
ただし、成年被後見人は、一時的に判断能力を回復した場合など、一定の要件を満たせば遺言書を作成することができます。
詳しくは<認知症でも遺言書を書ける?成年被後見人が遺言書を書くには?>