遺言書に有効期限はある?

1.自筆遺言書には有効期限がある?

「書いておいた遺言書に有効期限はあるのか」といったご質問いただくことがありますが、遺言書には有効期限のようなものはありません。

一度作成すると、効力が生じるまで(遺言者が亡くなるまで)何年、何十年でも有効な遺言書として存在します。

したがって、遺言書を作成した場合、有効期限について気にする必要はまったくありません。

前に作成した遺言書を変更したくなれば、撤回するか、あたらしく再度作成するなどで対応可能です。

もっとも、あらたに作成したとしても、前の遺言と内容が抵触しない部分がある場合は、前の遺言も抵触しない範囲で引き続き有効な遺言として残ります。

2.公正証書遺言の原本には原則、保存期限がある

公正証書遺言も同じように有効期限、といったものはありません。

しかし、公正証書遺言の「原本」は公証役場に保存されますが、公証人法施行規則で原本の保存期限は20年と定められています。

遺言の効力が発生しないまま(遺言者が亡くならないまま)作成から20年を経過してしまう。

まったく珍しいことではありません。

そこで、公証人法施行規則には「保存期間の満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならない」との定めがあります。

この規定により、20年を経過しても基本的に公正証書遺言の原本は保存されます。

20年経過した後、具体的に何年ほど保存されるかは公証役場によって異なる場合がありますので、別途、各公証役場に確認する必要があります。

一般的には遺言者が120歳になるまでの年数で保管されることが多いようです。

70歳のときに作成されたのであれば、120歳までの50年間保存される、ということです。

また、東日本大震災を教訓に、大災害などに備える必要から、従来の紙の原本に加え、それを電磁的記録化して保存しておく制度もできました。

原本を二重に保存しておき、万が一のために備えています。

3.まとめ

遺言書には有効期限は一切ありません。

変更するつもりがないのであれば、そのままにしておけばよいのです。

場合によっては遺言の効力発生が何十年後、ということもあるでしょう。

そのため、遺言の効力が発生する前に受遺者や遺言執行者が亡くなってしまうことも想定しておく必要があるので、一工夫した遺言書を作っておくことをオススメします。

詳しくは<遺言の受取人が先に死亡したら?>

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