遺言の書き換え・書き直し、公証役場への届出は必要?

相談事例

以前、近場の公証役場にて公正証書遺言を作成したのですが、この度、あらためて遺言書を書き直すことになりました。

ただ、他県に引っ越してしまい、今回は別の公証役場で作成することになりそうなのですが、最初の公正証書遺言を作った公証人に作り直すことを届出る必要はあるのでしょうか。

遺言内容を変更するには公証人の許可のようなものは必要なのでしょうか。

1.遺言の内容を変更したい

遺言を書き直したい方は思いのほか多くいらっしゃいます。

「受遺者との関係が悪くなった」

「財産が大きく変動したため、再度作り直した方がよい」

「新しくはじまった配偶者居住権を遺言に書いておきたい」

などなど、状況の変化で遺言内容を変更したい、書き直したいと考えることもあるでしょう。

で、相談事例では以前に公正証書遺言を作成していたということ。

その場合、あらたに遺言書を作れば、前の遺言と内容が矛盾する部分については前の遺言は撤回されたとみなされます。詳しくは<遺言は取り消せる?撤回方法は?>

遺言書の内容は、遺言者の意思、判断のもと自由に変更、撤回できます。

ただ、内容が矛盾、抵触していないからといって遺言書を何通も残すことは、後の遺言執行に支障が出たり、相続人や受遺者の間でのトラブルの原因にもなります。

ですから、遺言内容を変えたいのであれば内容が矛盾、抵触しない遺言書を何通も残しておくのではなく、いっそのこと、まるまる遺言書を作り直すことをオススメします。

2.遺言内容を変更、公証役場に届出は?

では、相談事例のように一度作った公正証書遺言を書き直すことになった場合、

「作成した公証役場(公証人)にあらたに遺言書を作り直すことの届出が必要か」

「作り直した後に、作り直したことを報告する必要があるか」

もっと言って、

「公証人の許可が必要なのか」

といったご質問を受けることがありますが、前述のとおり遺言書の変更、撤回は遺言者の自由です。

たとえ、それが公正証書遺言で作成されたものでもです。

したがって、公証役場や公証人に、

「遺言書を書き直します(書き直しました)」

といった届出や事後報告は一切要りませんし、当然、許可も不要です。

撤回、変更は自由だからです。

その意味で、公証役場としては公正証書遺言を作成後、あらたに書き直したかどうかを把握する必要性がないため、書き直した旨の届出や再作成について公証人の許可などは不要です。

なお、あらたな遺言書は公正証書遺言でも自筆証書遺言でも構いませんが、書き直した遺言が自筆証書遺言では発見されないリスクがあるため、公正証書遺言をオススメします。

自筆証書遺言でも法務局にて保管できる制度がありますので、その制度を利用した場合は発見されないリスクを回避できます。詳しくは<法務局で遺言書を保管してくれる?遺言書保管制度とは>

3.まとめ

公正証書遺言の書き換え、内容の撤回、変更は遺言者の自由です。

そして、遺言を書き直す場合は、公証役場に届出や報告などは一切不要ですし、同じ公証役場で作成する必要もありません。

もっとも、以前の(古い)遺言書が何通もあることは好ましくないため、書き直したのであれば早々に処分しておくことです。

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