家庭裁判所で利用できる主な手続き

裁判所。

普段の生活において「自分には関係のないところだ」「お世話になることはないだろう」と思うのではないでしょうか。

しかし、こと相続の場面では、裁判所のなかでも「家庭裁判所」で必要となってくる手続きは意外に多くあります。

自分には関係がないと思っていても、相続手続き上、関与しなければならない場面が出てくるかもしれません。

以下は、家庭裁判所において相続に関連して利用される主な手続きです。

相続放棄申述

相続財産のうち、借金の方が多く、他にどうしても相続したい財産がない場合に取られる手続きです。

 

詳しくは<相続放棄はどこに出す?必要書類は?>

限定承認

相続を限定的に承認することで、預貯金などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産のうち、どちらが上回っているか不明の場合に取られることがあります。

 

詳しくは<限定承認とは?そのメリットデメリット>

特別代理人選任

主に遺産分割の際に必要となります。

典型的なのは、親権者と未成年者の利益が相反する場合です。

 

詳しくは<相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議は?>

 

また、成年後見人と成年被後見人が利益相反する場合も比較的多くなってきました。

 

詳しくは<後見人と被後見人の遺産分割協議>

成年後見人選任

認知症を患ったため、自己の財産の管理や、不動産の売買などの法律行為が有効にできなくなった場合に、本人に代わってそれらの行為をする者として選任されます。

 

詳しくは<親が認知症になったら?成年後見人の申立て方法>

不在者財産管理人選任

不在者財産管理人を選任する典型例は、共同相続人の中に不在者、行方不明者がいるため遺産分割協議ができない場合です。

その不在者に代わって遺産分割協議を行い、協議書に署名押印する者として選任されます。

 

詳しくは<相続人の中に行方不明者がいると遺産分割協議ができない?>

相続財産管理人選任

相続人がはじめから1人もいない、もしくは相続放棄により結果的に1人もいなくなったため、相続財産を管理、処分したり、債権者に債務を弁済したりする者がいない場合に、それらの行為をする者として選任されます。

 

詳しくは<相続人が1人もいないときはどうなる?相続財産管理人とは?>

自筆証書遺言書の検認

自筆証書遺言を残していた遺言者が死亡すると、その遺言書の検認手続きが必要になり、この検認手続きを経ていなければ遺言書に基づいた相続手続きができません。

 

詳しくは<遺言の検認とは?遺言書が見つかったらやるべきこと>

遺言執行者選任

遺言書の内容を実現するために、実際に事務を行ってくれる者です。

遺言で遺言執行者を指定することができますが、指定されていなければ、遺言執行者選任申立てをすることをオススメします。

遺言執行者が選任されていなくても遺言執行は可能ですが、その場合は相続人全員が遺贈義務者となり、それらの者が手続きに関与しなくてはなりません。

遺贈を実現するために相続人全員の協力が必要となるのです。

そうなると、遺言執行にあたり手続き上の手間が増えますし、円滑、迅速な遺言執行も望めません。

 

詳しくは<遺言を実現させる遺言執行者とは?そのメリットや権限>

遺留分放棄の許可

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人が有する最低限の相続分です。

この遺留分、放棄することができます。

相続開始後は自由に放棄できますが、相続開始前の放棄は家庭裁判所の許可が必要になります。

 

詳しくは<遺留分の放棄とは?相続放棄との違いは?>

遺産分割調停

遺産分割協議が不成立もしくは協議自体ができないなど、当事者だけでは合意に至らない場合は、家庭裁判所にて調停委員を交えて話し合うことができます。

相続人全員で話し合いをすることに変わりありませんが、その場が家庭裁判所に移る、ということです。

 

詳しくは<遺産分割協議ができない、成立しない場合は?遺産分割調停の解説>

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