
1.おひとりさまの増加
単身世帯の増加で、自分の死後のことに不安を抱く方が増えてきました。
いわゆる「おひとりさま」です。
晩婚化の影響や配偶者と死別した、子がおらずほかに相続人もいない、など事情は様々ですが、今後もおひとりさまが増えていくことは確実です。
では、自分が死んだらどうなるのか。
ここで「死後の事務」といった話が出てきます。
たとえば、葬儀や火葬、納骨、公共料金や債務の支払い、役所への各種届出など。
おひとりさまの場合、これら各種手続きを進めてくれる人がいないことも。
そのような不安をお持ちであれば、元気なうちに死後事務委任契約を結んでおくことをオススメします。
死後事務委任契約について詳しくは<死後の事務を任せたい場合は?死後事務委任契約>
2.事前のヒアリングが重要
この死後事務委任契約にあたっては事前のヒアリング、打ち合せが非常に重要となってきます。
契約を結ぶにあたっては委任者と受任者、お互いの認識のズレを防ぐために契約内容(なにを任せたいか、どう任せたいか)を詳細に詰めておく必要があります。
また、事務内容を書面で明確化にしておかないと、実際の手続きに支障が出たり、場合によっては相続人とのトラブルに発展する可能性もあります。
葬儀方法について
たとえば葬儀方法。
依頼人としてはいわゆる「直葬」(火葬式)などの簡素な方法を希望したとします。
しかし、被相続人の親族が直葬などの簡素なものではなく(大規模とまでは言わないでも)、ちゃんと葬儀をしてほしかった、となると。
親族と受任者とでトラブルになることがあるので、特に葬儀に関する事柄については、詳細に契約書に記載しておきます。
・葬儀はどのような方法によるか、規模はどうするか
・葬儀会社は決めているのか、すでに契約はしているのか
・菩提寺、帰依しているお寺はあるのか
・お墓はあるのか、納骨はどうするのか
・予算はいくらか、最低額や限度額を定めておくか
・葬儀を開く場合、だれを呼んでほしいか、訃報のお知らせはどうするか
これらについて1つ1つ確認し、決めていきます。
特に葬儀方法やその予算に関する部分は親族とトラブルになりやすいところなので、十分すぎるくらい詳細に記載しておきます。
最近では海洋散骨なども珍しくはなくなってきているので、そのような「自然葬」を望むのであれば、業者の選定も必要となってきます。
散骨について詳しくは<散骨について>
納税や債務の支払いについて
税金や債務の支払いがあるのであれば、
・だれに(どこに)支払うのか
・いくら支払うのか
・借用書や納付書などはあるのか
などの情報が必要となってきますので、詳細を確認していきます。
ペットについて
また、ペットを飼っていればそのペットのことも考えなければなりません。
・ペットの引き取り先は決めているか
・ペットの年齢や病歴、健康状態はどうか
・狂犬病予防接種、ワクチン接種は受けているか、その証明書はあるか
残されたペットのために、信託を活用することを検討してもよいかもしれません。
詳しくは<ペットに遺産を相続させることはできる?ペットのための信託ってなに?>
3.まとめ
死後事務委任契約は今後、おひとりさまの増加で広く一般化してくることが予想されます。
契約にあたっては依頼者と打ち合せを重ね、その内容を詳細、明確に書面化し、契約を締結することになります。
死後事務委任契約が発効した段階では依頼者は亡くなっているため、より一層、曖昧な部分、判断に迷うような表現は避けなければなりません。
判断能力の低下や病気などで契約したくてもできない、とならないように元気なうちから検討しておくことをオススメします。