相続した実家の活用方法

相談事例

亡くなった父名義の自宅不動産があるのですが、母はすでに亡くなっているため、いまはだれも住んでおらず、「空き家状態」です。

相続人は私と兄だけですが、お互い何年も前に独立し、別居しています。

私は東京で仕事をしており、住宅ローンを組んで家も購入しているため、実家に移り住むことはまったく考えていません。

兄も同じ考えのようです。

そのため、実家はこのままでは放置することになってしまうため、どうにかしたいのですが、どうすればよいでしょうか。

また、このまま放置すると何かデメリットはありますか。

1.放置することはオススメしない

40代、50代になってくると、実家を相続するといったことが珍しくなくなってきます。

自分の家はまだまだ先のことだ、と思っていても相続は突然やってきます。

実家を相続した場合の対応方法として、最も避けたいのがそのまま放置することです。

放置によるメリットは何もありません。

面倒くさいからといって放置しても(空き家であっても)、毎年の固定資産税はかかってきます。

また、実際に住んでいないとしても管理責任は負ったままです。

何かしらの原因で第三者に損害を与えてしまい、損害賠償請求を受けるなど想定外の事態に発展する可能性もあります。

長期間の放置により、空き家対策特措法上の「特定空き家」に指定された結果、行政代執行による建物解体費用の請求がされるおそれもあります。

 

詳しくは<相続放棄をしても空き家は管理しなければならない?>

 

全国ではいまや空き家の数は840万戸を超えています。

空き家が年々増加している背景の1つとして、地方からでてきた子が相続したが、子は独立し、仕事もあり、自分で家も購入しているため実家に戻ることが困難、できないといった現状があります。

2.実家を相続した際に検討すべきこと

実家を相続した際に検討すべきことはいくつかありますが、共通することは、なるべく早め早めの対応をとることです。

その理由は以下のとおりです。

◆遺産分割を終える前に2次相続がおき、相続関係が複雑化するおそれがある

相続人が2人、3人のうちは問題なくとも、放置した結果、どんどん相続人が増えていき10人を超えてしまうといったことはよくあります。

◆税務上の問題

放置により、「相続した空き家の3000万円特別控除」を使えなくなるおそれがあります。(国税庁ホームページ)

◆不動産劣化のリスク

放置により、庭が荒れ果て、家屋は朽ちていくことが容易に想定されます。当然、資産価値も下がりますし、周辺環境、景観も害してしまいます。

3.相続した実家の3つの活用方法

では、自宅を相続した場合、どうすればよいか。以下の3つの方法を検討してもよいのではないでしょうか。

①売却する

相続人が相続した後に売却することです。家屋を取り壊して更地売買にするか、建物付で売却するかはケースバイケースでしょう。

また、相続人が数人いる中で売却するのであれば、換価分割を考える必要があります。

 

詳しくは<実家を相続した兄弟の換価分割の事例>

 

換価分割は手間や費用がかかりますが、比較的よく取られる遺産分割方法です。

②賃貸する

その物件を他人に賃貸すれば、賃料収入を得ることができます。

また、家は人が住まなければ、またたくまに朽ちていくものですが、人が住むことにより、ある程度は劣化を食い止めることができ、建物の価値維持につながります。

駅から近い、周りに商業施設がある、など賃貸が見込める土地家屋であれば、検討してみると良いでしょう。

注意点は、一度貸してしまうと空き家の3000万円控除を使えなくなります。

③自分が住む

仕事を定年退職した後に、将来的には実家に戻って住むといった場合もあるでしょう。年齢的にも定年間近ということであれば検討してもよいかもしれません。

しかし、それでも毎年の固定資産税や家屋の火災保険料、地震保険料はかかってきます。

また、戸建てであれば、庭の除草など維持管理の手間や費用もかかることでしょう。

戻る予定だとしても、将来のことは分からないことが通常でしょう。

当然、心変わりする可能性もあります。実家に戻る可能性が高くなければ、売却や賃貸の方法を検討することをオススメします。

あまりないかもしれませんが、自分で買った家の方を賃貸に出して、相続した実家には自分が住む、という方法もあります。

4.まとめ

相続した実家を放置することだけは避けなければならないので、どう活用するか、活用できるのか、をまず検討する必要があります。

上述の3つの方法のなかで最も現実的な方法は売却することではないでしょうか。

売却にあたり、実家がたとえ遠方にあっても手続きは可能です。

 

詳しくは<遠方の不動産を相続した場合はご相談ください>

 

どのような活用方法が最善か判断できない場合は、専門家に相談することをオススメします。

関連記事