株式の相続、法定相続分で分割される?

1.株式を相続するとどうなる?

預貯金を相続した場合、遺言がなければ各相続人の取得割合は法定相続分によります。

たとえば、3000万円の相続預貯金がある場合、妻と子(2人)が相続人であれば、

妻・・・1500万円(2分の1)

子・・・各750万円(各4分の1)

となります。

では、株式を相続した場合はどうか。

たとえば、被相続人がA社の株を3000株持っていたとします。

妻と子(2人)が相続人であれば、預貯金の場合と同様に、

妻・・・1500株

子・・・各750株

を相続するのでしょうか。

それとも、その相続したA社の株式の相続時点の株価が3000万円とした場合、

妻が1500万円分

子が各750万円分

を取得するのでしょうか。

勘違いしやすいところですが、いずれも違います。

2.株式の準共有

預貯金の場合とは異なり、株式については相続人間の遺産分割が終了するまでは、相続人全員が共有する関係になります(これを「準共有」といいます)。

つまり、預貯金のように当然に法定相続分で分割されるわけではなく、全株式を相続人全員が共有する形になります。

では、共有状態だとどうなるのか。

以下のような留意点があります。

・準共有状態の株式の議決権を行使するのであれば、だれか1人を議決権行使者に定めて行使する必要がある(会社法106条)。

全員が行使するわけではなく、法定相続分に相当する割合の議決権があるわけでもありません。

・1株でも売却したければ、相続人全員の同意が必要になる(1人でも反対者がいると、1株さえ売れない)。

株式の売却は処分行為にあたるため、相続人全員の同意が必要になります。

預貯金のように分割で取得するわけではないため、自己の持分だけを売却、といったことはできません。

3.まとめ

株式については、預貯金の相続と異なり、当然に法定相続分で分割されないため、要注意です。

準共有状態は不安定で法律関係の複雑化を招くこともあるため、早めの遺産分割協議をオススメします。

なお、遺産分割により株式を相続した相続人は、その旨を知らせる必要があるため、株主名簿の名義書換請求をしておくことです。

関連記事