農地は宅地などに比べ、自由に売買したり、贈与したり、ができません。
食料の安定供給の観点から、「農地は農地のまま」という考え方が基本としてあるからです。
そして、農地を保護する規定が必要となるため、「農地法」という法律が置かれています。
1.農地を相続したら届出が必要
相続登記は義務ではないため、農地に限らず被相続人の不動産を相続しても、相続登記しないでそのまま放置するといったことが多くみられました(なお、2024年までに相続登記の義務化がスタートします)。
そのなかで特に田や畑といった「農地」は宅地などに比べ、取引が活発というわけではありません。
むしろ、売買や贈与がされるといった場面は多くはありません。
農地を相続してもそのまま放置される、いわゆる「耕作放棄地化」「遊休農地化」となっていき社会問題化してきました。
それではますます現在の所有者がだれかが分からなくなってきます。
そこで、平成21年12月に農地法が改正され、相続により農地を取得した者は、農業委員会へその旨を届出ることが必要になりました。
改正前までは、売買や贈与によって農地を取得する場合には農業委員会に届出が必要でしたが、相続による取得については届出る必要がありませんでした。
しかし、それでは前述のとおり農地の現在の所有者、所有権の流れを正しく把握できない、といった不都合がありました。
そこで、相続による農地取得であっても、事後的にではありますが届出を必要とすることによって農地の現状を把握し、適正化、有効化に努めているのです。
2.まずは農地の相続登記
まずは農地の相続登記が必要となります。
その手続き方法は農地以外の相続登記と特段変わることはありません。
詳しくは<自分でできる!相続登記の申請方法や申請書の書き方>
なお、売買や贈与による名義変更登記については、添付書面として農業委員会の届出受理書(もしくは許可書)が必要になります。
登録免許税は固定資産税評価額の1000分の4です。
3.農業委員会への届出
相続登記が完了したら、届出ることになります。
届出先は、農地がある市区町村を管轄する農業委員会です。
農業委員会は基本的に役所、役場内に置かれています。
4.必要書類
届出に必要な書類は、基本的に以下のもので大丈夫です。
◆届出書
◆相続登記済みの登記簿など、相続したことを確認できる書面
5.届出ないと・・・
なお、相続により農地を取得してから10か月経過しても届出をしていないと、10万円以下の過料に処せられることがあるので注意を要します。
6.まとめ
農地の適正化、有効化のため、農地を相続した際の届出制度が創設されました。
「農地を相続したが遠方に住んでいるため管理できない」といったことであれば、農業委員会が農地の有効活用の手助けをしてくれることもありますので、忘れずに届出るようにしましょう。