ひと昔前に親が買った別荘をこの度相続した、といったケースが増えてきました。
別荘地が流行った、別荘の所有がステータスとなっていたのは一昔前。
当時は各地で別荘が売りに出されました。
別荘の相続が増えてきたのは、30年ほど経過して別荘の所有者が近年、亡くなる時期に差し掛かってきたと言えるのかもしれません。
現在、日本各地で放置された別荘が放置空き家となって社会問題化しているところです。
1.別荘の相続
被相続人所有の別荘も遺産ですから相続の対象になります。
他の遺産と同じく相続人の間で遺産分割を行い、取得者を決定します。
ただ、積極的に別荘を相続したい、という方は少ない印象です。
管理の手間や金銭的負担、自分の子供に遺したくない、などの理由で敬遠されます。
また、簡単に売れるのであればいいのですが、放置された別荘の買い手はなかなかつかないことも(人気の場所で財産的価値のある物件は別でしょうが)。
別荘管理地であれば管理費がかかりますし、山の中の別荘は公営水道ではないなどインフラ面で不十分なケースもあります。
当然、物件自体の状態も悪くリフォーム費用も多額となるので、買い手としては二の足を踏むのではないでしょうか。
また、管理費の滞納があると買主は管理組合から滞納管理費を請求される場合もあります。
2.別荘の確認方法
親が持っていた別荘を把握していればよいのですが、地方の物件だと何も知らない、分からない、ということも珍しくはありません。
把握していないのであれば、調査する必要があります。
固定資産税納税通知書で確認
別荘の確認方法として、毎年春ごろ役所から届く固定資産税納税通知書を確認することで判明します。
ただ、なかには評価額が低すぎて固定資産税のかからない物件もあります。
特に地方であれば、そのようなケースもあります。
その場合、固定資産税納税通知書は送られてきません。
権利書などで確認
権利書や当時の売買契約書があればそこから登記簿を取得し調査することができます。
ほかにも別荘地のパンフレットや管理組合の資料、担当者の名刺など何か手掛かりがありそうなものを探します。
銀行口座の履歴を注意深く確認すれば、管理費が口座から引き落とされていることもあります。
なお、令和8年2月から被相続人の所有不動産を一括で調査できる制度が始まります。
詳しくは<知らない土地が出て来る?所有不動産記録証明制度>をご覧ください。
3.別荘だけを相続放棄できる?
いらない別荘だけを相続放棄できれば話は簡単なのですが、相続放棄は被相続人のすべての財産を放棄することになるので、一部の財産のみを放棄することはできません。
4.まとめ
別荘を相続したら、ほかの遺産と同様、遺産分割をすることになります。
資産価値のない別荘は相続してもメリットよりデメリットの方が大きいこともあります。
ただ、相続登記申請の義務化も始まったので、そのまま放置するのではなく、親から相続した別荘をあらたに活用できないか、専門家を交えて検討すべきでしょう。