借地権は相続できるか?借地の明け渡しを要求されたら

1.借地権も相続される

借地権(※)は他の権利と同様に相続の対象になります。

借地権を持っていた人が死亡すれば、相続人に相続されます。

(※「建物所有を目的として」土地を借りる際に発生する権利です)

それは借地上の建物に被相続人と同居していなくても同様に、相続人であれば相続します。

勘違いしやすいのは、この場合、地主の承諾や同意などは一切不要ということです。

なぜなら、相続は「当然に」権利移転を伴うものだからです。

また、譲渡とはいえないため、名義書換料や承諾料などは発生しません。

地主からそれらの名目で請求された場合は、「借地権の移転が相続であるため支払う必要はない」と伝えることです。

手続き的には相続により借地権を取得したことを地主に通知するだけでよいですが、場合によっては契約書を新借地人である相続人に書き換えます。

借地であるため、土地については特別な手続きを行う必要はありませんが、土地上の建物については被相続人が所有権を持っているため、相続人名義に相続登記をしておきます。

なお、地主は、相続を原因として土地の返還を請求することはできませんし、相続人としても応じる必要はありません。

2.相続した借地権は譲渡(転貸)できるか

借地権も権利であるため、相続した借地権を第三者に譲渡できます。しかし、自由に譲渡できる訳ではありません。

第三者に譲渡したり、転貸(また貸し)する場合は、地主の許可が必要になります。

無許可で勝手に譲渡してしまうと、義務違反として契約解除、明け渡し請求を受けることになります。

また、譲渡なので名義書換料や承諾料が発生します。

相場としては、地域や年数、条件にもよりますが、一般的に借地権価格の10%前後(※)になることが多いです。

(たとえば、借地権価格が2000万円で、書換料が10%なら、譲渡に際して200万円を地主に支払う)

3.相続ではなく遺贈の場合は

相続の場合は地主の承諾が不要なのは前述のとおりですが、相続人ではない者へ遺贈する場合には地主の承諾が必要になります。

たとえ、遺贈が「包括遺贈」であったとしても、相続人ではない者へ借地権が移ることは譲渡にあたり、地主の承諾が必要になります。

4.地主の承諾が得られない場合は

借地権(土地上の建物も含め)を遺贈しても、地主は承諾する義務はありません。ただ、承諾をしてくれなければその土地を法的に有効に使うことはできません。

そのような場合には、裁判所に申立てることにより、金銭の支払いをする代わりとして、地主の承諾に代わる許可を求めることができます。

5.借地権も相続税の課税対象になる

借地権も財産権なので、相続税の課税対象になります。

借地権の相続税評価額の計算式は「自用地価額×借地権割合」となります。

自用地価額とは、土地を更地として評価することで、そこに借地権割合を乗じます。

まずは路線価を見ます。

路線価は国税庁ホームページから確認できます。(国税庁ホームページ)

路線価を確認したうえで、たとえば、以下の土地があるとします。

路線価は100Dと記載(単位は1000円)

Dの借地権割合は60%(借地権割合はアルファベットによって異なります)

土地全体の地積は100㎡

<計算例>

10万円(1㎡あたりの価額)×60%(借地権割合)=6万円

6万円×100(土地全体の地積)=600万円(借地権の評価額)

「土地を所有しているわけではないから」「借地権なので、相続税はかからないだろう」と考えてしまうところですが、中には所有権より借地権の方が価値が高いケースもあります。

借地権も立派な財産権です。相続税の課税対象になりますので、要注意です。

逆に言えば、場合によっては他人に土地を貸すことにより土地所有権の価額を大幅に下げることができるため、相続税対策の1つとして、土地を貸すことを検討してもよいかもしれません。

なお、借地であっても小規模宅地等の特例を利用することができます。

6.まとめ

借地権も相続対象になり、相続人は当然に取得できます。

相続は譲渡ではないため、地主から名義書換料などを請求されたら法律上の根拠のない請求なので、応じる必要はありません。

請求を拒むことができます。

また、相続税の課税対象になりますので、見逃さないよう要注意です。

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