生前に遺産分割協議はできるか?

相続すると相続人間で遺産分割協議を行うことがあります。

この遺産分割協議ですが、いざ相続が開始した時のために、すぐに相続手続きに取り掛かれるように被相続人の生前にやっておくことはできるのでしょうか。

1.生前に遺産分割協議はできない

たとえば、相続人である子が、父親が死亡したら直ちに預貯金などを解約したり、不動産の名義変更をしたいと考えました。

また、相続人のうちの1人が海外に在住しているが、たまたま日本に帰国しているため、好都合として父親の相続が開始する前に遺産分割協議を終えておこうと考える場合もあるかもしれません。

これらの場合、まだ父親が生存している中で、父親の財産につき遺産分割協議を行うことはできるのか、行った場合は法的に有効なのかといった相談を受けることがありますが、被相続人の生前に遺産分割をすることはできません。

生前の遺産分割は、たとえ父親本人の同意があったとしても無効です。

ある人の財産は死亡によって相続されますが、死亡するまでは推定相続人(将来相続人になる者)は、ある人の財産に対し何らの権利や義務を有していません。

それがたとえ家族だとしても他人が勝手に人の財産を左右できるわけはありません。

また、遺産分割の対象となる財産が確定していない中で(協議後、死亡までに財産の変動が起こる可能性も十分ある)、生前に遺産分割ができるとなると権利関係、法律関係を複雑にするおそれもあります。

したがって、被相続人の生前に財産の処分先を決めてしまう遺産分割協議を行い、成立させることはできません。

2.生前に相続放棄や遺留分放棄は?

生前に相続放棄することも認められませんが、生前の遺留分放棄は家庭裁判所の許可を得れば認められます。詳しくは<遺留分の放棄とは?相続放棄との違いは?>

3.まとめ

仮に生前に相続人間で遺産の分割や分割方法について合意したとしても法律上は無効であるため、その遺産分割協議書を使って何らかの相続手続きを行うことはできません。

もっとも、あらかじめ相続人間で話し合っておいて合意書のようなものを作成しておき、(あくまで紳士協定の位置づけとして)いざ遺産分割協議をする段階になった時にそれを活かすのも良いかもしれません。

それが結果的にスムーズに遺産分割協議が進むこともあります。

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