1.実家を相続したらまずやるべきこと
進学や就職に伴って、地方、地元から出ていく方は多くいらっしゃいます。
そのようななかで親が死亡したことにより子が実家の不動産を相続する場合があります。
実家を相続することになった相続人、特に別居している子などは住む予定がないのが普通ではないでしょうか。
だからといって、相続登記を放置することはオススメできません。
相続を機に実家の売却を考えることも珍しくはありません。
換価分割の方法を取る場合もあるのではないでしょうか。
詳しくは<換価分割のポイント>
そのためには親から相続人に名義変更の手続きを行う必要があります。
なぜなら、親から子に相続による名義変更登記を経由していなければ、買主名義に変更ができないからです。
つまり、直接、親名義から買主名義に一気に名義を移すことができないのです。
相続人名義になっていなければ買主は事実上、その不動産を購入することができません。
なぜなら、不動産は一般的に数千万円するので、購入する場合、通常は銀行から住宅ローンを借ります。
そして、銀行は買主名義になっている当該不動産を担保にとることを前提として(いわゆる抵当権を設定して)、お金を融資します。
しかし、その肝心かなめの不動産が依然として亡くなった親名義のままでは、前述のとおり、直接買主名義に変更できないため、抵当権設定の登記ができません。
これは、銀行が無担保で融資するということです。
銀行が無担保で数千万円を融資することはまずありませんので、購入希望者が現れても、売却の前に、もしくは同時に、不動産の名義を相続人名義にしておかなければ、買主が銀行から融資を受ける絶対条件を欠いているため、事実上、購入することができません。
これは、不動産が近場にあろうが遠方にあろうが関係なく、問題になってきます。
むしろ、遠方の不動産の方が、相続から売却といった一連のケースに出くわすことが多くあります。
2.遠方でも問題なく手続きはできる
今のところは売却予定などの事情がないため、具体的な行動に移していないが、将来的に処分を含めた相続手続きを行いたい、と考えている方がいらっしゃいます。
一方で、以下のような理由で手続きやそのご相談、ご依頼に二の足を踏むことがあるのではないでしょうか。
「法務局は平日しかやっていないため、いざ自分で手続きをしようとしても、行き帰りの時間も考えたら仕事を丸々一日休まなければならないのではないか」
「実家の自宅について、相続による名義変更登記手続きを行いたくても、遠方であるため、コッチの司法書士に頼むことに気が引ける」
「遠い地の不動産の手続き、やはり迷惑なのではないか、嫌がられるのではないか」
確かに以前は不動産を管轄する法務局の窓口に直接行って、登記申請する必要がありました(たとえば、札幌にある不動産なら札幌の法務局の窓口に行って申請)。
これを出頭主義といいますが、現在では不動産登記はインターネットによって申請(オンライン申請)できるので、現地の法務局に行かずに、パソコンですべての手続きを終えることができます。
また、戸籍謄本や遺産分割協議書などの添付書類は郵送することも認められています。直接窓口に持参する必要はありません。
したがって、不動産が遠方にあるため相続登記手続きをあきらめていた方、現地まで行く必要があるのではないかと思っていた方はご安心ください。
司法書士に依頼する場合は、オンライン申請に対応していない事務所もありますが、弊所は対応しておりますので、相続した不動産の所在地が遠方であっても遠慮なくご相談ください。