親族が成年後見人に選任されないケースとは?

1.親族が後見人に選任されないケースは?

親族を成年後見人にしたいと望む場合は多いのではないでしょうか。

成年後見人選任申立ての際に、申立人の方で成年後見人にしたい人、「後見人候補者」を立てることはできますが、必ずしもその候補者が選任されるわけではありません。

家庭裁判所が職権で、司法書士などの専門職を選任する場合があります。

「長男を後見人候補者にしたのに、知らない司法書士(弁護士)が選任された」といったことは珍しくありません。

親族ではなく専門家が選任される可能性が高いケースとしては、一般的に以下の場合が考えられます。

候補者となっている親族の年齢

後見人候補者となっている者の年齢が高齢(たとえば70歳以上)の場合は、その候補者が選任される可能性は低くなります。

本人の財産規模、資産状況、管理する財産が多岐に渡る

本人の財産規模や、管理すべき財産の種類、額、数量などによって当然、財産管理の難易度が変わってきますので、不慣れな親族が選任されるようであれば大きな負担になることが想定されます。

一般的に預貯金額が多額であれば、専門家が選任されることがあります。

また、専門家が成年後見人に選任されている場合であっても、本人の財産額(たとえば1億円以上)によっては成年後見監督人がつくこともあります。

あまり多くはありませんが、専門家である成年後見人に対して監督人がつくケースもあるのです。

反対する親族がいる、親族間でもめている

特定の親族が成年後見人に選任することに反対している親族がいる場合は、将来的にトラブルに発展するおそれがあることから、専門家が選任される傾向です。

使途不明金の存在

たとえば、成年後見人選任申立て前から本人の預金口座について、何に使われているか分からないような取引履歴があったり、多額の現金が引き出されている場合など、紛争に発展することが想定されるのであれば、専門家が選任される可能性が非常に高いです。

2.成年後見監督人が選任されることも

申立ての際に立てた候補者(親族)が希望どおり、そのまま成年後見人に選任されたとしても、場合によっては成年後見監督人がつくことがあります。

後見監督人とは、文字どおり成年後見人を監督する人です。

家庭裁判所も後見人を監督しますが、当然、家庭裁判所がつきっきりで後見人を監督できるわけではありません。

そのため、実際に監督する者として、司法書士などの専門家が成年後見監督人に選任されることがあります。

上述のとおり、専門家成年後見人に対して監督人がつくケースもあります。

3.「親族以外の者が選任されたからやめたい」はできる?

「親族を後見人候補者に立てて申立てたのに、予想に反して専門職が選任された」ということはよくありますが、

「親族以外が選ばれたから申立を取下げたい」

「第三者が選任されたら報酬が発生するから、申立はなかったことにしたい」

といって成年後見人選任申立てを取下げることは基本的にできません。

なぜなら、成年後見人選任申立ての取下げは家庭裁判所の許可が必要となり、意中の人物ではないから取下げたいという理由では家庭裁判所が許可することは通常はないです。

4.まとめ

だれを成年後見人に選任するか、その権限は家庭裁判所にあります。

親族を後見人候補者に立てて申立てても、必ずしもその者が選任されるとは限りません。

内容いかんによっては、専門職が選任されることがあります(むしろ専門職が選任されることが多く、その割合は8割近くといわれています)。

また、候補者が成年後見人に選任されたとしても、場合によっては後見監督人が選任されることもあります。

いずれにしても、「意中の者が選任されなかったからやめたい」は許されませんので、申立てる際は、そのあたりのことも考慮に入れて慎重に検討し、申立てをすべきでしょう。

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