3年内に請求しないと?生命保険金請求権の時効

1.生命保険金に時効はある?

死亡生命保険金は、受取人が相続人であればその受取人固有の財産となるため、相続財産に含まれません(ただし、みなし相続財産として相続税の対象にはなります)。

そのため、相続放棄をしていても受け取ることができますし、保険金をすでに受け取っていたとしても相続放棄ができます。

その生命保険金。

遺産分割(代償分割)や遺留分侵害額請求に備えてうまく活用することで、相続対策、遺留分対策に効果的です。

保険事故発生後、必要書類を揃えて請求すれば、速やかに保険金を受け取ることができるため、遺された家族の生活保障に切れ目なく応えることもできます。

様々な場面で利活用できる生命保険金ですが、一定期間経過により保険金を請求できなくなってしまうことがあり、これを時効といいます。

2.死亡から3年経過すると・・・

生命保険金の請求権ですが保険事故発生から(死亡してから)3年を経過すると、消滅します。

保険法という法律の第95条に規定されています。

この規定は任意規定といって、当事者の契約によって法と異なる内容で変更できますが、基本的にこの規定を基準として各保険会社は約款上で時効期間を3年と定めています。

もっとも、3年経過により、当然に保険金を請求する権利が消滅するわけではなく、「時効の援用」によって権利が消滅します。

時効の援用とは、時効制度を利用して時効の効果を受け入れる意思表示のことで、この場合、保険会社が時効を援用することにより、保険金の請求権は消滅し、保険会社は保険金を支払う義務を免れます。

3.死亡した事実や保険の存在を知らなかったら?

死亡から3年経過により時効で権利が消滅するとはいっても、では、被保険者の死亡の事実を知らなかった場合はどうでしょうか。

死亡の事実を知らなければ請求しようがありませんが、その場合であっても3年経過により請求できなくなるのか。

また、被相続人が保険に入っていることを知らない場合もあります。

たとえば、親の死後、遺品整理をしていたところ、親が加入していた保険証券をたまたま発見したといったことは珍しくありません。

この時点で3年経過していれば時効を援用されて権利は消滅するのか、ですが、

・ちゃんと保険料が支払われていた

・当該保険契約が有効である(保険証券があっても解約している場合や請求済みの場合もある)

ことが確認できれば、実際のところ時効援用はしない保険会社もありますので(保険金がおりる)、「すでに3年経過しているからもうダメだ」とすぐにあきらめないで、まずは保険会社に問い合わせてみることです。

4.定期的に連絡、通知をくれる

通常は年に1回から数回、保険会社から保険内容の通知がきますので、それにより保険契約の事実や内容が把握できることもあります。

被相続人が保険に入っていることを知らない場合であっても、知る機会はある程度は確保されているため、請求漏れを防ぐことにつながるのではないでしょうか。

5.かんぽ生命保険は?

以上のとおり、保険金の請求権は3年で時効になりますが、例外的にかんぽ生命保険の保険金請求の時効は5年になります。

なお、郵政民営化前に契約された簡易生命保険において、受取人が先に死亡している場合の扱いが一般的な生命保険の考え方とは大きく異なるため要注意です。

 

詳しくは<保険金の受取人が先に死亡したら?簡易生命保険(かんぽ生命)の場合は?>

6.まとめ

保険金の請求期間は保険法で3年と定められています。

ただ、期間経過により当然に保険金を請求できる権利が消滅するのではなく、時効が援用されることによってはじめて消滅します。

場合によっては保険会社が時効を援用しないで保険金の支払いに応じてくれることも普通にありますので、

「親が入っていた知らない保険が出てきた」

「だいぶ前に亡くなっているため、もう請求できないのではないか」

といった場合でも、まずは保険会社に確認をしてみることです。

被相続人と相続人の間で保険契約の内容を共有しておくことも重要です。

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