1.相続の結果、所得税、住民税が増える?
相続により多額のお金を相続した場合、所得税や住民税がかかったり増えたりするのか、とのご質問をいただくことがあります。
結論から言うと、相続で財産を受け取ったとしてもそれは所得ではない(稼ぎではない)ため、所得税や住民税が増えることはありません。
したがって、たとえば住民税非課税世帯の方が相続財産を受け取ったとしても、そのことを理由として課税世帯となることはありません。
相続によって関係する税金は相続税です。
2.相続した財産から所得が生じたら
単純に相続で財産を受け取っただけでは所得税、住民税には影響はありません。
しかし、たとえば、
・相続した自宅を売却した
・相続した不動産から賃料収入を受け取った
・相続した株式を売却した
などで所得が発生すれば、それらには課税がされますし、所得に応じて住民税にも影響します。
3.健康保険料は?
健康保険料は所得に応じて計算されます。
相続によって財産を受け取ったとしても、それ自体は所得ではないので、健康保険料に影響はありません。
ただ、上述と同様に、相続した財産から所得が発生する場合は、保険料に影響することになります。
4.生活保護費受給者が相続財産を受け取ったら?
注意点として、生活保護費受給者が相続した場合です。
相続財産によっては、最低限の生活が維持できないわけではない、と判断されて生活保護費の受給停止となる可能性があるので、事前に生活保護の担当部署に確認すべきでしょう。
もっとも、お金を相続したがそれも使い切ってしまい生活が困窮してきた、最低限の生活が維持できない、となれば(生活保護費受給の要件を満たしたうえで)再度、生活保護の申請、受給も可能です。
なお、生活保護費受給者が相続放棄をすることができるかについて、詳しくは<生活保護受給者は相続放棄することができるか>をご覧ください。
5.まとめ
相続は所得ではないため、相続により財産を受け取ったとしても所得税、住民税が課税されることはありません。
相続財産を受け取ったことをもって住民税非課税世帯ではなくなる、ということもありません。
ただし、相続した財産から所得を得た場合は、当然、その所得に応じて課税はされますし、住民税や健康保険料にも影響してきます。
また、生活保護費を受給している方は気を付ける必要があります。
相続財産を受け取ることによって受給(資格)に影響があるのかどうか、担当部署への事前確認は必須となるでしょう。