1.共済とは
亡くなった方が「共済」に加入していることがあります。
共済とは、簡単に言うと「皆でお金(共済掛金)を出し合って困った時に助け合う」ことで、仕組みや構造としては保険と同じですが、異なる点もあります。
保険が株式会社など民間の営利団体によって提供されるのに対し、共済は地方公共団体など、非民間、非営利団体が運営しています。
共済金(保険金のこと)としては、加入者が亡くなった場合に支払われる死亡共済金などがあります。
2.共済の種類
共済を運営する組織はいくつかあり、主には次のものがあります。
県民共済
各都道府県にありますが、いくつか共済のない県もあります。自分が住んでいる共済にしか加入できないため、千葉県に住んでいる人は東京都の都民共済には加入できません。
JA共済
原則、農家の組合員、準組合員が加入します。
CO・OP(コープ)共済
生協の組合で、コープの店舗で加入するケースが多いのではないでしょうか。
3.死亡共済金の受取人
共済に加入していた組合員が亡くなった場合、契約内容にしたがって死亡共済金が支払われることがあります。
では、この共済金はだれが受け取れるのか、県民共済、コープ共済それぞれのケースをみていくことにします。
県民共済の受取人
たとえば、千葉県民共済であれば、以下の順位で受取人が決まります。
①加入者の婚姻届出のある配偶者
加入者と同一世帯に属する加入者の
②子
③孫
④父母
⑤祖父母
⑥兄弟姉妹
その他の、加入者の
⑦子
⑧孫
⑨父母
⑩祖父母
⑪兄弟姉妹
⑫加入者の甥姪
民間の保険と違って順位という考え方があるので、確認は必須です。
同じ子であっても、同居の有無によって受け取れる子、受け取れない子と出てきてしまうため、注意を要します。
たとえば、加入者には配偶者がおらず、前妻の子(元妻のもとで生活しているため、別世帯)と後妻の子(同居している、同一世帯)がいる場合には、後妻の子だけが共済金を受け取ることになります。
加入者と前妻の子は同一世帯の関係にないため、上記順位からいけば、同一世帯の後妻の子が先順位者となるからです(上の「その他の」とは同一世帯ではない場合、という意味です)。
コープ共済の受取人
コープ共済の場合は、あらかじめ受取人を指定でき、指定がない場合は規約にしたがった順位で受け取ることができます。
4.受取人の変更は?
死亡共済金の受取人の変更はできるのか。
たまにご質問を受けることがありますが、民間の保険の場合は生前もしくは遺言で保険金の受取人を変更することができます(ただし、受取人は一定の範囲の者に限定される場合があるので、各保険会社、代理店に要確認)。
一方で、共済の場合は以下のようになります。
県民共済の受取人変更
千葉県民共済の例ですが、原則、受取人変更はできないが例外的にできる場合がある、ということになっています。
その例外的な場合ですが、
・婚姻届出のある配偶者がいない場合で、内縁関係にある者
・婚姻届出のある配偶者がいない場合で、日常生活において同居もしくは世帯員と同様な生活状態にある者
など限定的であるため、民間の保険ほど柔軟に変更はできません。
遺言により受取人を変更することもできないようです。
コープ共済の受取人変更
一方、コープ共済では、死亡共済金受取人指定という制度があり、親族であれば受取人の変更が可能となっています。
また、遺言においても変更可能となっているようです。
5.まとめ
被相続人が共済に加入している。
保障が死亡共済の場合、その共済金の受取人はだれになるのか。その変更はできるのか。
県民共済のように規約であらかじめ受取人の順位が定められているものもあるため、受取人の判断に迷うケースがあります。
共済金が受け取れるかどうかによって、相続放棄の判断にも影響する場合もあるため、被相続人が共済に加入している場合は注意を要します。